佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『日本ゴクラク湯八十八宿』(柏井壽・著/だいわ文庫)

『日本ゴクラク湯八十八宿』(柏井壽・著/だいわ文庫)を読みました。まずは出版社の紹介文を引きます。

旅をするのに宿の手配は欠かせませんが、「宿選びに間違って、旅行気分が台無しに」「休みのたびに、どこに泊まろうかと悩む」などなど、苦労や失敗談は多いもの。でもそんなこと、もう今後あり得ません! 年間二百五十泊以上の旅をする著者が選ぶ、温泉、絶景、美食を誇る日本のゴクラク湯、北から南、東から西へ、八十八の宿を厳選!

 

 

日本ゴクラク湯八十八宿 (だいわ文庫)

日本ゴクラク湯八十八宿 (だいわ文庫)

 

 

 美ヶ原温泉「旅館すぎもと」に泊まったとき置いてあったのを購入。年に二百五十泊以上どこかの宿に泊まっていらっしゃる柏井氏が選ばれた八十八の宿となれば要チェックである。いや要チェックなどという生やさしいものではない。私の職業からして必須である。私の趣味(旅と自転車)からして至要たる行為である。加えてここ一か月あまりで二度お目にかかる機会を得た者としての厚誼の証ともいえる。

 私のGoogle Mapには本書で紹介された宿が八十七の☆となっている。なぜ八十八ではないのか。答えは「飛鳥Ⅱ」にある。

 

 

『黒書院の六兵衛 上・下』(浅田次郎・著/文春文庫)

 『黒書院の六兵衛 上・下』(浅田次郎・著/文春文庫)を読みました。まずは出版社の紹介文を引きます。

【上巻】

江戸城明渡しの日が近づく中、
てこでも動かぬ旗本がひとり━━。

新政府への引き渡しが迫る中、いてはならぬ旧幕臣に右往左往する城中。
ましてや、西郷隆盛は、その旗本を腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。
外は上野の彰義隊と官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い、一触即発の危機。悶着など起こそうものなら、江戸は戦になる。この謎の旗本、いったい何者なのか―。

周囲の困惑をよそに居座りを続ける六兵衛。城中の誰もが遠ざけ、おそれ、追い出せない。
そんな最中、あれ?六兵衛の姿が見えぬ!?
勝海舟西郷隆盛をはじめ、大物たちも顔をだす、奇想天外な面白さ。
……現代のサラリーマンに通じる組織人の悲喜こもごもを、ユーモラスに描いた傑作。

 

【下巻】

天朝様が江戸城に玉体を運ばれる日が近づく。
が、六兵衛は、いまだ無言で居座り続けている……。
虎の間から、松の廊下の奥へ詰席を格上げしながら、居座るその姿は、実に威風堂々とし日の打ち所がない。
それは、まさに武士道の権化──。
だが、この先、どうなる、六兵衛!

浅田調に笑いながら読んでいると、いつの間にか、連れてこられた場所には、人としての義が立ち現れ、思わず背筋がのび、清涼な風が流れ込んでくる。
奇想天外な面白さの傑作です。

解説・青山文平

 

 

黒書院の六兵衛 上 (文春文庫)

黒書院の六兵衛 上 (文春文庫)

 
黒書院の六兵衛 下 (文春文庫)

黒書院の六兵衛 下 (文春文庫)

 

 

 官軍のにわか先見隊長を命ぜられ加倉井隼人が江戸城に送り込まれてから、大村益次郎木戸孝允らが江戸城に入城するあたりまで、この物語は冗長である。そう思っていた。しかしどうだ。下巻の半ばを過ぎてからの展開に心が震えた。図らずも嗚咽がこみあげてきた。冗長と思われた前フリはこのためにあったのだと気付く。浅田氏の筆によって吐露された登場人物の胸懐は、読み手の心に灯をともし、心はやがて激しく高ぶる。撓めに撓めた弓矢が一気に放たれるが如く、我が内なる魂が奔流となって昇華していくとき、一筋の涙が零れ落ちた。浅田氏にはいつもやられてしまう。

 

 

今日の朝餉

今朝の厨房男子。

あり合わせのもので作ったフツ~~の朝飯。

ポイントはオリーブオイルたっぷり、塩味濃いめ。

世の中「油取り過ぎ」だの「塩分過多」だの、ぐだぐだうるさい。

「生サラダだけ。ドレッシングはノンオイル」などという無味で潤いのない人間にはなりたくないのだ私は。

食い物は食いたいように食う。

ただし栄耀を慎み戒める。

それでいいではないか。

 

 

第418回 旬の会 @高砂忠助

2017年8月3日(木)「第418回 旬の会」が高砂市荒井の忠助にて開催されました。

今月のメイン食材は「明石だこ」。

明石海峡の激しい潮流の中で育ち、瀬戸内の豊富な餌を食べて育った太短い足を持つ極上蛸をアテに夏の酒を飲みました。

どの酒も美味しかったけれど、今日のお気に入りは『司牡丹 純米吟醸 夏純吟』です。特徴であるキリッと辛口の酒が暑い夏にはスッキリと心地よい味わい。もうひとつ、久しぶりの『菊姫 山廃純米』も良かった。キンキンに冷えていたけれど、これは敢えてぬる燗でいただくのが良いです。燗にしても山廃特有の酸がスッキリと呑ませてくれます。いやむしろ燗によって酸が丸くなり酒全体をまとめてくれます。

美味しゅうございました。

『京都の値段』(文:柏井壽、写真:ハリー中西/プレジデント社)

『京都の値段』(文:柏井壽、写真:ハリー中西/プレジデント社)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

歩く、見る、買う、食べる、憩う、遊ぶ、泊まる―値段から辿る京都案内!
この本をご紹介するのに多くの言葉は必要ないのかもしれません。
なぜなら、中をご覧いただければ、一目瞭然、だからです。値段ごとに京都のお勧めアイテム・スポット(約60、交通機関を含む)を共に京都市生まれの京都育ちの筆者とカメラマンが、値段を切り口に、京都のすぐれたモノやコトを、お洒落なヴィジュアルと格調ある文章で、見開き単位で紹介しています。
京都を賢く、楽しく過ごすのに役立つ本。しかもかわいい。片手に持って歩きたくなることでしょう。

値段という切り口で、京都を見ていくと、新しい顔が見えてきます。
発見があります。あぶらとり紙の「よーじや」さんで、八ツ橋の「聖護院八ツ橋」さんで、新しいスーヴニール(お土産)に出会うことでしょう。お店に入るのに敷居の高さをさほど感じなくなります。
入館料や拝観料なしで、京都らしい佇まいや風情に触れることもできるのです。この1冊があれば、使ったお金に見合う満足度を得ることができる、そんな旅ができるようになります。

「初心者」には頼りになる指南役。
「京都好き」には手放せない豆事典。
『京都の値段』は、古都の達人になるための知的道標(みちしるべ)なのです。

【掲載アイテムの一例】
0円/染井の名水 50円/長久堂の桜干菓子 200円/よーじやのユニパック 1000円/俵屋旅館のソープケース 1000円/やよい・はれま・しののめのじゃこ山椒 2500円/近又の朝ご飯 6000円/花吉兆のミニ会席

 

京都の値段

京都の値段

 

 

 見て歩く、食べる、遊ぶ、買う、京都の「ええもん」をハリー中西氏の写真と柏井壽氏の文で紹介してもらえる。頁を捲るごとに京都の魅力が目に飛び込んでくる。柏井氏の文を読むにつけ、ほんものの良さが伝わってくる。

 やはり柏井氏の御著書はものを選ぶ目の確かさ、読みやすい文章が魅力。まちがいありません。

 紹介されたのは「染井の名水」(0円)から「要庵・西富家の夜泊まり」(27,000円)まで62アイテム。私のお勧めは「開化堂の茶筒」(6,000円)。私の家にもあります。これこそ日本、これこそ京都といえる逸品です。

 我が家にある茶筒の映像です。


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 ちなみに本書を読んだ翌日に著者・柏井壽氏と食事をする機会を得た。『鴨川食堂』の大ファンで、先生の書かれた旅ものも数々読ませていただいている私にはアンビリバボーな体験でした。シャンパンを飲みながら、美味しい中華に舌鼓をうち、二時間以上親しく語らうという希有な機会をいただきました。まさに僥倖に恵まれた夜でした。ちゃっかりサインもいただきました。(笑)