ウェルズの日記

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「虚貌」(幻冬舎文庫/雫井脩介 著)を読了

 2008年は雫井脩介でスタートだ。「虚貌」である。年末に読んだ「栄光一途」が若干期待はずれだっただけに本書を読むことがためらわれたが「犯人に告ぐ」の出来からもう一冊読んでみようと思い、年初一冊目にこれを選んだ。正月に読むような明るい話ではない。しかし、おもしろかった。理屈抜きでおもしろかった。年始のお笑い番組など視る気がせず没頭してしまった。

 紹介文を引用する

二十一年前、岐阜県美濃加茂地方で、運送会社を経営する一家が襲われた。社長夫妻は惨殺され、長女は半身不随、長男は大火傷を負う。間もなく、解雇されていた従業員三人が逮捕され、事件はそれで終わったかに見えたが…。恐るべきリーダビリティーを備え、ミステリー小説界を大いに賑わせた、怪作にして傑作。待望の文庫化。

 本書をミステリーとして捉まえると、使われているトリックに批判が出るのは当然だろう。多少の無理もある。しかし、私は「小説は楽しめなければならない」と思っている。上下巻ある長編小説だが上巻から読者をぐいぐい引き込み、下巻に入ってスピード感を増し、一気に最後のクライマックスに。息をもつかせない展開にしばしも本をはなせない。読後は放心状態だ。「雫井脩介」 ただ者ではない。