佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・・・」(角川文庫 / 池澤夏樹 著 普後均 写真)を読了

やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)

やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)

不思議な小説だ。ジャンルとしてはSFに分類して良いだろう。

その昔、グレート・ハザードと呼ばれる災厄が地球を襲った。子供が生まれなくなったのだ。少しずつ出生率が下がり、このままでは人類が絶滅することが明らかになった。まだ、子供が産める者だけが選ばれ隔離され、植民衛星に送られた。

「死(あるいは消滅)」がテーマだ。
あるいは逆説的に永遠が・・・?
短いが示唆に富んだ小説だ。

本書は表題になっている中編「やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・・・」ともう一つの短編「星空とメランコリア」の2編で成っているが、「星空とメランコリア」の中から気に入ったフレーズを一つ・・・・・

すべては現象である、というのは祝福です。
定常宇宙の、無限に続く存在という説はぼくには恐ろしいものでした。
目覚めても目覚めてもまだ悪夢の中という印象でした。
ものごとにはやはり終わりがあるべきです。
終わったところで、まだ先があるとすれば、それはその時になって古い定義を捨てた上で改めて再定義すればいい。
とりあえずこの宇宙はあと数百億年で終わらせましょう。

♪本日の一曲♪  

David Bowie- Space Oddity Original Video (1969)