ウェルズの日記

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「流星たちの宴」[白川 道(著)/ 新潮文庫]を読了

白川道のデビュー長編「流星たちの宴」を読んだ。年明けに氏の手になる「天国への階段」を読み、是非デビュー作も読みたくなったのである。ハードボイルド好きの期待を裏切らない小説であった。

流星たちの宴 (新潮文庫)

流星たちの宴 (新潮文庫)

時はバブル期。三十七歳の梨田雅之は、投資顧問会社社長の見崎に見込まれて『兜研』に彷徨い込むが、仕手戦に出た恩師・見崎を土壇場で裏切る。手にした大金を浪費した後、自ら仕手集団『群青』を率いて再び相場の世界に戻った梨田は、知人からの極秘情報を元に、一か八かの大勝負に乗り出した…。

株式相場を舞台にしたハードボイルドタッチの小説だ。

憶えているか、俺が高校を退学処分になったあの夏の日のこと。二人で真夜中に海に泳ぎに行ったよな。遊泳禁止の立て札が立ってたっけ。ふざねんな、俺は俺の中だけのものに縛られて生きてくって。俺は今、自分の生き様にこれっぽちも後悔なんかしちゃいない。おまえもきっとおまえの中だけのものに縛られて生きてきたんだろう。あのとき、夜光虫が波打ち際で光ってた。綺麗だったよな。俺はあれ以来、輝くもんが好きになった。俺は海が好きだから、死んだらあの夜光虫になれたらいいなんて今思っているよ。もう一度、おまえとあの日のように夜の海で泳いでみたかったさ。でも、もうそれもかなわないだろうよ。

飲み過ぎて顔がどす黒く変色しても酒をやめようとしなかった友が、死ぬ間際に獄中にある主人公に宛てた手紙の一節だ。グッとくる。稼いだ金を全てギャンブルに突っ込んでしまう白川氏の価値観が垣間見える。

「男ぐらい知ってるよ。子供じゃない・・・・・・・」
肩を抱き寄せ唇をふさいだ。固い唇だった。肩を放した。
「帰れよ、きょうは」
「・・・・・、今日はっていうことは、今度はいいの?」
見つめる目に涙が溢れているのを雅之は見た。
「男なんか知らんよ、おまえは。寝たことがありゃ男を知ってるってことになるわけじゃない」
雅之はソファーに置いた理子のコートを手に取った。
「どうして?」
玄関のドアのノブを握った理子が振り返った。
「金を払ったその日に抱けば、おまえは娼婦と変わらんことになる」

クー!! 男はこんな会話にしびれるのである。おそらく女性はこんな会話を読むと「ばっかじゃないの」と思うんだろうな〜。
主人公の雅之は妻を自殺で亡くしている。その妻の写真の裏に「俺は決しておまえ以上には幸せを味わいはしない」と書いている。こんなのも女性が読むと「ばっかじゃないの」と思うんだろうな〜。間違いない。
そう、この小説は男にとってはたまらないが、女性にとってはこの世界に入り込みにくい(ばっかじゃないの)小説だ。そんな気がする。
しかし、まあ、こんな小説があってもいい。ってか、こんな小説大好きです(笑)

♪本日の一曲♪
Rie Fu - Life Is Like A Boat
「流星たちの宴」を読み終えて、ちょっと、感傷的になったりしてます。
男ってのはどうしてこうも女々しいのか?