ウェルズの日記

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「ブルータワー」(石田衣良:著 / 徳間文庫)を読む

石田衣良の小説「ブルータワー」を読んだ。

ブルータワー (徳間文庫)

ブルータワー (徳間文庫)


2004年9月に徳間書店から刊行された小説だが、文庫本は2008年3月15日初刷だから、つい半月前に出た新刊だ。
もともと「ブルータワー」は『問題小説』2002年1月号から2004年9月号に連載された長編小説だ。
著者もあとがきに述べているとおり、石田氏は2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロの衝撃を、
何とか小説の形で吐き出したいと考え、この小説を書いた。

出版社 / 著者からの内容紹介
悪性の脳腫瘍で、死を宣告された男が200年後の世界に意識だけスリップした。地表は殺人ウイルスが蔓延し、人々は高さ2キロメートルの塔に閉じこめられ、完璧な階層社会を形成している未来へ。「…この物語は平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。『ブルータワー』へようこそ! 夢みる力が決して失われる事のない世界へ」(著者の言葉)

内容は石田氏には珍しくSF小説だ。
著者も子供の頃SF小説を読み、ワクワクと胸を躍らせたそうだが、私も同じ経験を持つ。
SF小説は現実と非現実を混在させることが可能な分、物語として面白い。
しかし、この小説はSF小説と言いながら、主人公やその周辺の人間はそれぞれに「自分で決めた規範」にしたがって行動しており、そうした意味では石田氏お得意のハードボイルド小説とも言える。


グッとくる一節を紹介しよう。
地下組織・解放同盟を束ねるリーダーのミコシバが主人公セノ・シューに語った言葉がこれだ。

「セノ・シュー、いいことを教えてあげよう。部下のまえでは決して迷った振りは見せないこと。間違いは後でやり直せるけど、一度なくした信頼はもう取り戻せないのさ。なんといってもあの子たちは、私の決定に命を預けているんだからね」

「過ちなら何度でもある。そんなときはいつだって自分の口の中をかんだものだ。どれほど後悔していても流れ出した血を自分で飲んでしまえば、誰にもわからない」

リーダーたる者の心得だ。


♪本日の一曲♪


Green Day - Wake Me Up When September Ends