佐々陽太朗の日記

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『夜のピクニック』(恩田陸:著/新潮文庫)


夜のピクニック』(恩田陸:著/新潮文庫)を読み終えた。

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者:陸, 恩田
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫

実は恩田女史の著書を読むのは初めてである。
本書は恩田女史の代表作とのこと。
また、第2回本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞を受賞した作品。
加えて、2004年度『本の雑誌』が選ぶノンジャンルベスト10で1位に選ばれた本。
となれば、小説好きとしては当然、押さえておくべき本である。
しかも、ペンネームは『やっぱり猫が好き』の恩田三姉妹に由来するらしい。『やっぱり猫が好き』は1990年前後ににフジテレビ系列で放送されていたコメディドラマだ。恩田三姉妹の三女・きみえ役を演じた小林聡美のファンの私としてはなおさら読まないわけにはいかない。
果たしてどんな小説を書くのかと興味津々で読みました。

内容は次のとおり(「BOOK」データベースより)

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

読み終えて、何と読みやすい文章を書くのかというのが第一印象。
この読みやすさは、やはり著者の筆力が優れていると言うことだろう。
読後感は何とも爽やか。48歳の私であるが、高校時代の空気を思い出した。
話の設定としての「歩行祭」は著者の母校である茨城県立水戸第一高等学校の名物行事「歩く会」をモデルにしているらしい。水戸一高といえば伝統校。本書を読んでいて、伝統校に通う進学を控えた時期の高校生のもつ空気が実に巧みに描かれている。最近の高校がどのような空気なのかは知らないものの、著者が高校に通ったであろう1980年代の進学校の3年生の空気というものが、追体験として感じられるのである。

良書です。次も恩田女史の本を読んでみようと思います。