佐々陽太朗の日記

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『六番目の小夜子』(恩田陸:著/新潮文庫)

このところ恩田陸さんにはまっている。
夜のピクニック』『ドミノ』につづき、『六番目の小夜子』を読んだ。

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

  • 作者:陸, 恩田
  • 発売日: 2001/01/30
  • メディア: 文庫

紹介文を引用する。

内容(「BOOK」データベースより)
津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

夜のピクニック』と同じく学園もの。
小説としては『夜のピクニック』のほうが好みだが、忘れられない衝撃という意味では『六番目の小夜子』のほうが上だ。どちらも進学校に通う高校三年生の友情と恋愛をあつかっている。受験をひかえ、春になればそれぞれが大学に進学し、ばらばらになってしまうことをわかっている時期。夏休み、学園祭、クリスマス、そうした時間の刹那に漂う胸がキュンとなるような空気をうまく描いている。恩田さんは自らの高校時代(水戸第一高等学校)の刹那、刹那を深く胸に刻み込んでいるのだろう。本書にはミステリーとサスペンスの要素もあり、それが恩田ファンの中で人気の高い理由の一つなのだろう。


本書は恩田さんのデビュー作ではあるが、1992年に新潮文庫のファンタジーノベル・シリーズの一冊として発表されたものは一度絶版になり、1998年・2001年に大幅加筆のうえ単行本化されたものが再出版されたようだ。
amazonで検索してみたところ、絶版になった 1992年7月発刊のISBN 4-10-123411-6 が中古商品で見つかったので購入しました。恩田さんが最初に発表した『六番目の小夜子』にどんな風に筆を加えたのかをみてみようと思います。