佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ウェルズの居酒屋紀行 Vol.005 『魚常』 -2008/08/23-


久しぶりに行ってきました、憬れの街、金沢。これまで何度か旅行で訪れたことはあるが、あわただしく通り過ぎるだけでゆっくりと街を堪能したことはない。
金沢21世紀美術館で「ロン・ミュエック展」「サイトウ・マコト展」「日比野克彦アートプロジェクト」を堪能した後、そぞろ歩き。兼六園外苑を抜けて主計町(かずえまち)へ入る。
三段アーチの浅野川大橋のたもとを降り、川沿いを歩くとこのあたりは旧い茶屋町の佇まいを残しつつ、中はモダンなバーになっているらしい店も見かける。そのうちの一軒「茶屋バー」に目をつけ、今夜の二件目はここと心に決める。
浅野川大橋を渡るとここも旧い街並みが残る東茶屋街。土産物を買うも良し、抹茶で和菓子をいただくも良し、洋食をいただくも良し、かき氷をいただくも良し、いろいろな楽しみかたがある街だ。しかし、私たちは夕刻から金沢の味を楽しみながら地酒を飲むという楽しみがあるので、あえて甘いものも食べず、冷たいものも飲まずぶらぶらと街並みを眺めながらそぞろ歩くだけだ。そうしていると、そろそろ腹が減ってくる。のども渇いた。時計を見れば午後5時。酒宴を始めるのに早すぎることもあるまい。目指すは並木町、店は「割烹 魚常」。

浅野川の岸部に建つ旧い木造の建物は風情があって良い。街並みにとけ込んでなんとも良い雰囲気だ。暖簾をくぐると左手にカウンター席。思わずカウンターで飲みたいと思ったが、今日は6人連れ。後ろ髪を引かれる思いで二階へ。二階座敷からは浅野川を眺めることが出来る。こうしてみると座敷で飲むのも良いではないか。とりあえず生ビールを頼みお品書きに目をやる。ビールのあてには枝豆は欠かせないな。それと、やはり金沢ならではのものを食べながら地酒が飲みたい。のど黒、治部煮、ゴリの唐揚げ、岩がき、白海老の唐揚げ、あとはお造りを適当に・・・と注文。


生ビールもすぐに空いたので、まずは「加賀鳶 純米吟醸」を冷やで持ってきてもらう。美味い。続いて「黒帯 悠々 特別純米」これも冷やでいただく。旅気分のせいもあるのだろうが、石川県の酒は美味い。料理が美味いとなれば尚更だ。グイグイいけてしまいあっという間に空いてしまう。では、何か別の酒をと「福正宗 銀ラベル 特別純米」をぬる燗でお願いする。燗酒もおつなものです。あまり立て続けに酒が空くので、女将さんに呆れられる。呆れられついでに「何か隠している日本酒はない?」と訊ねると、持ってきました「能登誉 純米酒 千枚田」(清水酒造店)、しかも瓶ごと持ってきて下さいました。これは私も飲んだことがない銘柄です。なんでも輪島の"千枚田"で作られた米を使用した自然酒とのこと。輪島の棚田の厳しい条件の中で作られた米を原料としているからか、力強さと米の豊かな風味、味わいがあるように感じる。ま、それまでにいろいろ飲んでいるので、かなり酔っぱらっていますので、舌の方はあやしいものですが・・・。


お酒をたくさんいただいたので、女将さんが身体を気遣ってやわらぎ水を持ってきて下さった。「加賀鳶」「黒帯」の仕込水、福光屋の「酒蔵の水」です。この水がまた美味い。霊峰白山に降り注いだ雨が百年の月日をかけて酒蔵にたどり着いた事を考えれば当然か。
気軽に美味い酒が飲めて、料理が美味く、お店のかたの気遣いも温かい。

酒好きに嬉しい店でした。満足です。
あっ、しまった!「はちめ」を注文するのを忘れていた。次の機会にゆずろう。
今日は、まだ行きたい店がある。主計町にある「茶屋バー」に向かわねば・・・・・(つづく)