佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし / 宇江佐真理(著) 』(講談社文庫)

昨日、『卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし』を読み終えました。Kさんがブログで紹介していらっしゃったのを拝見し「ああ、この本は私好みの本に違いない」とピンと来た本です。題名から容易に想像できるとおり食べ物を題材とした時代物連作短編集です。

物語の主人公のぶは八丁堀の同心・椙田正一郎の妻である。のぶがまだ十八歳のとき縁談があり、周囲は反対したがそれを押し切って椙田家に嫁いできた。のぶは習い事に通う道で何度かすれ違い正一郎に想いを寄せていたのである。嫁に来て6年になるが、二度の流産で子宝に恵まれていない。正一郎ののぶに対する態度は何となく冷たい。のぶは正一郎の心の内が解らず悩んでいる。
そんな椙田家での食べ物のエピソードを交えた人情話。何とも「幸福感」を感じる温かいお話です。Kさん素晴らしい小説を紹介して下さりありがとうございました。
ちなみに「卵のふわふわ」の作り方はP238に出てくる。
「鰹節のだしを使い、醤油味の勝ったすまし汁に仕立てる。小鍋にすまし汁を煮立たせ、砂糖をほんの少しいれた卵をよく掻き混ぜ、鍋の縁からいっきに落とし込んで蓋をする。ゆっくり十数えてでき上がり」
となれば、作ってみたい、食べてみたいと思うのが人情。作ってみました。おつな味です。