『変見自在・スーチー女史は善人か / 高山正之(著)』(新潮社)を読み終えました。2005年3月から2006年5月の「週刊新潮」に高山正之氏が連載した超辛口コラム「変見自在」の傑作選である。
- 作者: 高山正之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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題名にもなっているアウンサン・スーチー女史について、高山氏はビルマ(ミャンマー)という国を「植民地支配の残した負の遺産を誰のせいにするでなし、国名も変え、貧しさに耐えつつ平和的に解決した例を他に知らない」と言う。現政権を悪鬼のように糾弾する某大新聞に対し、元ミャンマー大使(任期1995年 - 1998年)山口洋一の発言「根拠もない悪質な中傷。あの国の歴史を見ればいかに彼らが不器用に、正直に生きてきたか分かる」を引き、国際的非難に晒されるミャンマー軍事政権は必ずしも悪でなく、スーチー女史こそ、そうしたビルマ人の努力を全てぶち壊しにする性悪と言う。
また、ペルー再建の立役者なのに親米でないが故に潰されたアルベルト・フジモリ氏の話や武器の売掛代金回収が心配でイラク派兵に反対したフランスの腹黒さなど、一般には知られることの少ない裏話を曝く。とりわけ「○○の記事は奥が深い」「○○の浅知恵」など、某大新聞の所行に対する論評は辛辣だ。
なるほどそういうことが裏にあるのかと腑に落ちること必至。「世の中、表面では分からんもんやな」というのが正直な感想。もちろん高山氏の言をすべて鵜呑みにすることも(新聞やテレビが報じている偏見に満ちた報道を事実であると鵜呑みにすることと同じく)危険であることを承知していなければならないだろう。しかし、高山氏が世の中の欺瞞を一刀両断に切って捨てる小気味良さに拍手を送りたい。この面白さは、YTVの番組『たかじんのそこまで言って委員会』と同じ質のものだ。歯に衣着せぬ評論に拍手〜パチ、パチ!(*'-')//”パチパチ☆