ウェルズの日記

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『銀しゃり / 山本一力(著)』 (小学館文庫)を読む


ゼニがあるとか、様子がいいとか、そんなことはどうでもいい。

妹のために命がけになってくれるやつなら、

ゼニもいらねえし、ひょっとこづらでも文句はねえ。

銀しゃり[文庫] (小学館文庫)

銀しゃり[文庫] (小学館文庫)


山本一力氏の小説『銀しゃり』を読み終えました。

まいりました。文句なしに良い小説です。

職人として自らに科した規範がある。
身分は低くとも、人としての矜持がある。
そうした男の生き様に密かに想いを寄せる乙女心がある。
真の男にだけが真の男を知る世界がある。
武士の心意気、市井の人情がある。
そして大切なものを守り続けひたむきに生きる者に、
最後の最後に作者はとびきりのハッピーエンドを用意してくれます。
このハッピーエンドを安直だとかご都合主義だと言って、
眉間に皺をよせて小難しいことをほざく輩など放っておきましょう。
人を思いやり、誠実に生きている人には祝福があってほしい。
小説にはそれが可能なのだから。


裏表紙の紹介文を引きます。

寛政の江戸深川に「三ツ木鮨」を構えた鮨職人・新吉は親方から受け継いだ柿鮨(こけらずし)の味と伝統を守るため、日々精進を重ねていた。職人の誇りをかけて、満足のいく仕事をする。それが新吉の信条だったが、ふとしたきっかけで旗本勘定方祐筆・小西秋之助の知己を得る。武家の借金を棒引きにする「棄捐令」に思い悩む秋之助との間に、互いの生き様を通して生まれる男同士の信頼感。住む世界が異なろうとも、そこには己れの仕事に命を燃やす男たちの熱い心意気があった。長屋に暮らす仲間たちと織りなす「笑いあり涙あり」の時代小説。