ウェルズの日記

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『五郎治殿御始末 / 浅田次郎(著)』(新潮文庫)を読む

いかな覚悟の戦でも、先駆ける者はさほど怖い思いはせぬ。怖いのは後に続く者だ。怖いと思うたらけっして尻込みをしてはならぬ。人に先んじて死に向き合えば、怖い思いをしなくてすむ。そして生きるか死ぬかは、人間が決めることではない。                         (五郎治殿御始末より)

『五郎治殿御始末』を読みました。

五郎治殿御始末 (新潮文庫)

五郎治殿御始末 (新潮文庫)

裏表紙の紹介文を引きます

勢州桑名藩の岩井五郎治は、新政府の命で、旧藩士の整理という辛い役目についていた。だが、それも廃藩置県によって御役御免。すでに戊辰の戦で倅を亡くしている老武士は、家財を売り払い、幼い孫を連れて桑名を離れたが…「五郎治殿御始末」。江戸から明治へ、侍たちは如何にして己の始末をつけ、時代の垣根を乗り越えたか。激動の世を生きる、名も無き武士の姿を描く珠玉の全6編。

やはり浅田次郎氏は稀代のストーリー・テラーです。
本書も胸にグッと迫る短編ぞろい。
6篇のうち、表題作の「五郎治殿御始末」も良いが、「柘榴坂の仇討ち」が秀逸。士は己の事情を語らず、唯々黙して義を貫くのみ。最近は己の都合ばかりを声高に申し立て、利に聡い人が多すぎる。昔にくらべ科学技術が進歩し経済が発展しても、人としてはむしろ退廃しているのではと感ずるのは私だけか。

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