佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ひとりガサゴソ飲む夜は‥‥‥

「ヤク持ってこい!」なんてヤクザっぽい口調でいうやつがいてギョッとしたことがある。

しかし雀荘のおばちゃんがそこに持っていったのはヤクルトであった。

『ひとりガサゴソ飲む夜は‥‥‥』(椎名誠/著・角川文庫)を読みました。

のんべえシーナさんのヨロコビとカナシミに満ちたバカ話。

シーナさんのエッセイはいつに変わらず絶品です。

裏表紙の紹介文を引きましょう。

熱帯の禁酒国でこっそり手に入れた、悶え苦しむ“秘密のビール”の味とは!?南の無人島で食べた、ゼイタクな酒シャブシャブについて。初めて行った国で飲んだ酒に、破壊的ダメージを受けた痛恨の二日酔い。与那国島の巨大蜘蛛のようなヤシガニの絶品カニミソなどなど…。一度は飲んでみたい幻のお酒の数々から、ちょっと遠慮しておきたいゲテモノオツマミまで、ありとあらゆる酒と肴を、縦横無尽に書き綴る、極上エッセイ。

目次もひらってみましょう。

1 人間は一生のあいだどのくらいビールが飲めるか!?なんてことを考えてもしょうがないけど考える。
2 赤道から極北まで探せばどこかにきっとある。人類のヨロコビと悲しみのみなもと。
3 オアシスの夜はけっこううるさくてついついウイスキーがすすんでしまうのであった。
4 川を下り海をわたる。キングコブラ酒に赤ボヤのプラスマイナス問題について考える。
5 メコン幻のコメウイスキーぐいぐい飲み男からポルトガルの火焔酒まで。
6 ナスの古漬け、キムチのチャーハン、チカの天丼三点セットをさあどうぞ。
7 ひとりガサゴソ飲む夜は覚悟をきめて三時間。くたびれたらアワビの丸ごとおかゆが待っている。

いかがでしょうか。目次を読んだだけで読んでも役に立たない話だということは明白です。

そりゃぁそうでしょう。酒を飲むという行為自体、何の役にも立たないものですから。

酒が生み出すのはオシッコとアセトアルデヒドぐらいなものです。

そう考えると、酒を飲むという行為はひたすら哀しくも空しい行為なのです。

しかし、これほどヨロコビに満ちた行為もないのです。(飲まない人にはひらすら迷惑なだけですが・・・)

今日も日本のあちこちで、いや世界のあちこちで酒を飲み、どうでもいいことを考えバカ話をする。

人間は一生のあいだどのくらいビールが飲めるか!?なんてことを考えてもしょうがないけど考える。

そんなシーナさんを私は激しく支持するのだ。

(追記)

このエッセイの中で人間が一生の間に飲めるビールの量はせいぜい25メートル・プール一杯分しかないというくだりがある。それを夜中にビールを飲みながら読みつつ、本棚から村上春樹氏の『風の歌を聴け』を持ってきて「一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートル・プール一杯分ばかりのビールを飲み干し、「ジェイズ・バー」の床いっぱいに5センチの厚さにピーナッツの殻をまきちらした」と書いてあるのを確認し、「村上はん、大法螺でんな〜、ウシシッ!(^o^)」などとツッコミを入れている私はつくづくアホだと思う。