ウェルズの日記

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さまよう刃

裁判所は犯罪者に制裁など加えない。

むしろ裁判所は犯罪者を救うのだ。

罪を犯した人間に更生するチャンスを与え、

その人間を憎む者たちの目の届かないところに隠してしまう。
                        (本書118Pより)

さまよう刃 (角川文庫)

さまよう刃 (角川文庫)

さまよう刃』(東野圭吾/著・角川文庫)を読みました。

つらい小説です。最愛の一人娘を二人の獣に、ただ欲望だけのためにまるで玩具のように陵辱されたうえ殺されたと知った父親が主人公です。

しかも犯人はその様子をおもしろ半分にビデオに撮っており、そのビデオで娘の最後の姿を見てしまった父親。

その父親がとった行動の是非を読者に問いかけます。

裏表紙の紹介文を引きます。

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。

この小説を読んでいる間中、私は救いを求めていました。救いなどないことが判っていながら。

しかし私は娘を獣に殺された父親になんとか救いをと、作者・東野氏に対し心の中で手を合わせていました。

そう、私はたとえば藤沢周平氏が小説の中で、主人公の下級武士に一分をたててやるように、

割り切れない悲しみの中にも何らかの救いを用意してやって欲しかったのです。

小説中、東野氏は主人公・長峰重樹に次のように語らせます。

「法律は人間の弱さを理解していない」と・・・