佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

黄昏の狙撃手

彼らにはひとつの共通点があった。

彼らはわたしを狩っていると考えていたが、

実はわたしが彼らを狩っていたんだ。

多数の人間と対決したが、その全員が苦い教訓を得て絶命した。

ひとつ、選択させてやろう。

銃を捨てるか、死体となるか。
(下巻P259より)

『黄昏の狙撃手』(スティーヴン・ハンター/著、公手成幸/訳、扶桑社ミステリー)「上・下」を読み終えました。

黄昏の狙撃手 (上) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (上) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (下) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (下) (扶桑社ミステリー)

我らがヒーロー”釘打ち師”「ボブ・ザ・ネイラー(Bob the Nailer)」の異名を持つ伝説の狙撃手ボブ・リー・スワガー(Bob Lee Swagger)シリーズ最新刊です。

やっと出たか、ひさしぶりと思って読んだのですが、読み進むにつれ腑に落ちないことがありました。ボブがなんとなく歳をとっている。7歳で日本人らしい養女「ミコ」が家族に加わっている。日本刀で臀部を斬られたらしくびっこをひいている。なんだか変だと思いつつ読み進めて解りました。どうやら、シリーズを一話読み飛ばしてしまったらしい。”Wikipedia”で調べてみるとやはりそうでした。

  • Point of Impact (1993) -『極大射程』(1998)

 ボブ・リー・スワガー三部作の第1作

  • Dirty White Boys (1994) -『ダーティホワイトボーイズ』(1997)

 シリーズの番外編的な作品

  • Black Light (1996) -『ブラックライト』(1998)

 ボブ・リー・スワガー三部作の第2作

  • Time to Hunt (1998) -『 狩りのとき』(1999)

 ボブ・リー・スワガー三部作の完結編

 アール・スワガー・シリーズの第1作

  • Pale Horse Coming (2001) -『最も危険な場所』(2002)

 アール・スワガー・シリーズの第2作

  • Havana (2003) -『ハバナの男たち』(2004)

 アール・スワガー・シリーズの第3作

  • 47th Samurai (2007) -『四十七人目の男』(2008)

 ボブ・リー・スワガー・シリーズ
 日本が舞台であり、主人公が銃器ではなく日本刀で戦うなど。シリーズ中でも異色作である。

  • Night of Thunder (2008) - 『黄昏の狙撃手』(2009)

 ボブ・リー・スワガー・シリーズ
 翻訳版は誤訳や誤植、約物が消えているなど、編集ミスが多い。

  • I, Sniper (2009) - 未邦訳

 ボブ・リー・スワガー・シリーズ

『四十七人目の男』(47th Samurai )を読んでいないのです。なんたる不覚。一旦、読書を休止し『四十七人目の男』を読むべきかとamazonを検索したのですが、そこのカスタマーレビューがふるいません。というか、酷評されています。目を疑いたくなりました。わたしの大好きな作家、スティーヴン・ハンターがこんなに酷評されるなんてことがあるのだろうか? しかも人気シリーズボブ・リー・スワガー・シリーズだというのに・・・・? しかし、カスタマーレビューに書いてあることももっともな様子です。「ボブ・ザ・ネイラー(Bob the Nailer)」に銃を持たせず刀を持たせてはいけません。チャンバラなどさせてはいかんでしょう。読まずに飛ばしたことが幸いだったのかも知れません。と云いながら、結局読んでしまいそうな自分がいるのも事実ですが・・・・

さて、本作『黄昏の狙撃手』です。『極大射程』や『ブラックライト』ほどの緊迫感と高揚感は無いものの、それなりに楽しめました。ミステリとしての仕掛けはそこそこ良い線をいっています。しかし、ガンファイトにおいてはボブが強すぎるのか、相手が迫力に欠けるのかハラハラ感が若干不足。総合して5点満点の4点といったところ。4点は甘いというご意見もありそうですが、わたしはハンター・ファン。それ以下の点をつける気はありません。(笑)