ウェルズの日記

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手紙

だってアメリカはチャンスの国だっていうじゃないか。コネや経歴や人種とかは関係ない。実力のある者が正当に評価されて、どこまでものしあがっていける。マドンナはまだ無名だった頃、成功しようと思って何をしたと思う?タクシーに乗って「世界の中心に連れて行って」といったんだ。そこがニューヨークのタイムズスクエアだったんだよ。
                        (本書P144より)


『手紙』(東野圭吾:著/文春文庫)を再読しました。文庫化されたのが2006年10月10日。私の持っているのは2006年11月1日第6刷だ。一ヶ月経たないうちに第6刷を刷っているあたり、相当なベストセラーであることが覗える。確か一ヶ月で100万部を売った大ベストセラーだった。今でも本屋で平積みされていたりする。今、本屋にあるのは第30刷ぐらいか。

裏表紙の紹介文を引きます。

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。

この本はバスや電車の中で読んではいけません。不覚にも人に涙をみられてしまいます。東野圭吾氏はこの『手紙』にせよ、『白夜行』、『さまよう刃』、『容疑者Xの悲劇』にせよ、善悪では割り切れない心情を描きます。物語として読者をぐいぐい惹きつける面白さもさることながら、読みながら深く考えさせられるところがあります。読者に何が正しいのか、主人公はどうすべきなのかという疑問を突きつけてきます。お薦めの一冊です。

この小説を原作とした映画も良い出来です。主演は山田孝之。主人公の兄役を玉山鉄二、主人公を慕う由美子役に沢尻エリカ。この映画の頃の沢尻エリカさんはかわいかったなー。(笑) 小説では主人公・直貴は一時期ミュージシャンを目指すのだが、映画ではお笑いタレントを目指すことになっているところが変わっています。

小説で何度か出てくる John Lennon の "Imagine"。この小説が問うているのは犯罪者とその家族への世間の差別。その差別故に茨の道を歩むことを余儀なくされた直貴の想いがこの曲に象徴されている。偏見や差別がない世界。いつかそんな世界が現実になって欲しいという切ない想い……

Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today・・・

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace・・・

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world・・・

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one


想像してごらん 天国なんてないんだと・・・
その気になれば簡単なことさ
僕らの足下に地獄はなく
頭上にはただ空があるだけ
想像してごらん すべての人々が
今日のために生きていると・・・

想像してごらん 国境なんてないんだと・・・
そんなに難しいことじゃない
殺したり死んだりする理由もなく
宗教さえもない
想像してごらん すべての人々が
平和な暮らしを送っていると・・・

僕を空想家だと思うかも知れない
だけど 僕ひとりじゃないはずさ
いつの日か きみも僕らに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ

想像してごらん 所有するものなんか何もないと・・・
果たしてきみにできるかな
欲張りや飢えの必要もなく
人はみな兄弟なのさ
想像してごらん すべての人々が
世界を分かち合っていると・・・

僕を空想家だと思うかも知れない
だけど 僕ひとりじゃないはずさ
いつの日か きみも僕らに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ
[対訳:山本安見]

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)