ウェルズの日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年6月の読書メーター

2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3925ページ
ナイス数:1838ナイス

先月の傾向は二つ。一つは中山道萌え。浅田次郎氏の『一路』を読んで、以前から興味を持っていた中山道に一気にのめり込んだ。これはもう自転車で走破するしかない。もう一つは追悼。桂米朝師匠と白川道氏の死を悼む読書となった。


中山道69次を歩く 究極の歩き方120(改訂版)中山道69次を歩く 究極の歩き方120(改訂版)感想
街道の全行程と宿周辺の地形図は詳しく、街道の現況が車通行可能、徒歩道、通行不能に分類されて表示されている。そのうえ街道を正確にたどるためのポイントを120カ所取り上げてあるので、私のような凝り性にはうれしい。特にすばらしいのは街道の見所1330カ所を地図に表し案内してあるところ。たとえば落合宿、『夜明け前』に登場する芭蕉「木曽の穐」の句碑では「この穐という字が気に入らん、これでは木曽の蝿としか読めない」と解説があり、私は「おぉ~、これは見逃してはなるまい」などとにやつきながら読みすすめたのであった。(笑)
読了日:6月28日 著者:岸本豊(中山道69次資料館長)


宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 (集英社文庫)宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 (集英社文庫)感想
宇和島、大分、会津、喜多方、静岡、倉敷、盛岡、高知、富山、金沢、京都、尾道、高松、地方都市の居酒屋には風情が感じられる。紹介された店の中には私も訪れたことがある店がいくつかある。その経験から判断して書いてあることにけっして誇張はない。むしろ控えめに書いてあるくらいだ。宇和島会津、喜多方、盛岡には行ったことがない。特に会津と盛岡には強く惹かれた。少々遠いがなんとしても訪れたいと思う。
読了日:6月28日 著者:太田和彦


妖怪探偵・百目2: 廃墟を満たす禍 (光文社文庫)妖怪探偵・百目2: 廃墟を満たす禍 (光文社文庫)感想
今作で道満一派陰陽師・播磨遼太郎の過去が明らかになる。加えて百目に己の過去を語らせた。生きるか死ぬか、食うか食われるか、淘汰の世界にあって思いやる心は弱さに繋がるのか。冷酷非情な心を持つことが強者たり得る条件なのか、それとも惻隠の情こそが真の強者の証なのか。上田早夕里氏が今後どのような物語を紡いで下さるのかまことに楽しみです。余談ですが、上田氏は姫路市にお住まいと聞いておりますが、実は私も姫路市に住んでおります。できればもっと姫路を舞台に物語が展開すればいいなぁなんて思っております。(笑)
読了日:6月23日 著者:上田早夕里


ようこそ、わが家へ (小学館文庫)ようこそ、わが家へ (小学館文庫)感想
いつもながらグイグイ読ませる池井戸スタイル。ストーリーも銀行マンの主人公が出向先企業内部の不正を暴いていく企業もの、お得意のスタイルである。今作ではそれに自分の家庭がストーカー被害に遭うという恐怖も付け加わっている。この先いったいどうなるの・・・? という思いで頁をめくる手が止まらないというのも池井戸氏の小説を読んだ時にいつも経験することです。読者の求めるものを、期待に違わぬ水準で提供し続ける池井戸氏の職人技に驚嘆します。
読了日:6月20日 著者:池井戸潤


落語と私 (文春文庫)落語と私 (文春文庫)感想
実に読みやすい文章です。些か大げさな言い方ですが、そのわかりやすさ、美しさはノーベル文学賞大江健三郎氏の文章の対極にあると思います。ご存じのとおり大江氏は難解な言葉で持って回った文章を書かれます。私は若かったころこそそれをありがたがって「スゴイ」と思っていましたが、様々な人の文章を読み重ねた今、大江氏の文章を評価する気にはとてもなれないのです。それに比べ、米朝師匠の文章のなんと麗しいことか。米朝師匠の仰りたいことがスウッと入ってきます。読んでいて心地よい。このあたりは人のあり方の問題とも思えます。
読了日:6月18日 著者:桂米朝


その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)感想
100人の人には100とおりの「色」がある。しかし、その中に一人として「純白」はない。「白」について考えてみよう。物体がすべての波長の可視光線を100%乱反射するとき、その物体は白いという。しかしながら100%の反射率を持った物体は実在しない。つまり我々が「白」と認識している色は決して本当の白ではない。白く見えるものをいくら塗り重ねても、決して「純白」には到達し得ない。この物語は「そうありたい自分」を決してあきらめず想い続けたからこそ、それに到達できないことを知ってしまった人たちの物語だ。切ない話である。
読了日:6月14日 著者:河野裕


浅田次郎と歩く中山道 - 『一路』の舞台をたずねて浅田次郎と歩く中山道 - 『一路』の舞台をたずねて感想
昔日の面影を今にとどめる中山道。かねがね模糊たる憧れを抱いておりました。小説『一路』を読み、本書を読んだ今、模糊としたものがだんだん現実味を帯びつつある。私が中山道を行くとすればロードバイクでの旅となるが、旧街道には自転車では通れないところもあるだろう。迂回するのか、押し担いででも旧街道にこだわるのか考えどころである。そのあたり綿密に調査をして臨むも良し、臨機応変を旨とし想定外のスリルを楽しむのも面白そうだ。中山道を踏破するだけの体力と気力はあるつもりだ。あとは暇だけ。しばらくは夢想を楽しむとしよう。
読了日:6月11日 著者:浅田次郎


乙嫁語り 7巻 (ビームコミックス)乙嫁語り 7巻 (ビームコミックス)感想
今回は一夫多妻制と姉妹妻をテーマにしている。舞台はペルシア。一夫多妻制と聞いて女性蔑視と短絡的に断じてはいけません。人の営みや愛情はもっと複雑で深甚なものではありますまいか。そもそもイスラームにおいて正統カリフ時代に相次いだ戦争が生んだ寡婦の経済的扶助手段であったともいわれており、西欧的価値観の押し売りなど笑止。「複数の妻に公平に接する」ことができて初めて認められる制度であり、経済的に大きな負担を伴うことをも考え合わせると気高い倫理に裏付けられた制度と知るべきだろう。
読了日:6月11日 著者:森薫


星が降る (新潮文庫)星が降る (新潮文庫)感想
男ってのは女々しい生き物です。ん? この文章、矛盾しているかな。言い方を変えましょう。男ってのは実に恋々たる生き物です。あきらめが悪いのですね。どうでもいいこと、こだわっても仕方ないことにこだわる。ハッキリ言って、そのこだわりは生きていく上で邪魔です。もっと肩の力を抜いて上手く生きていけば楽なのに、敢えて不器用な生き方を選ぼうとする。その上、そんな生き方がカッコイイと己に酔っているからタチが悪い。困った生き物です。でも好きなんだなぁ、この世界。次は『最も遠い銀河』を読むかな。
読了日:6月10日 著者:白川道


一路(下) (中公文庫 あ 59-5)一路(下) (中公文庫 あ 59-5)感想
人情、泣き笑い、心意気の小説でした。キャラクターがそれぞれに魅力的なところは稀代のストーリーテラーのなせる技、流石です。難しいことを考えずに、存分に楽しみながらどんどん読み進めることが出来る。しかし武家社会というヒエラルキーの中にあって世襲のお役目ゆえの悲喜こもごもを見るにつけ、殿様には殿様の、御供頭には御供頭の、留守居には留守居の器量があり、それぞれが一所懸命なのだと気づく。泣き笑いの物語の中に知らず知らずリーダーとしての心得と覚悟を見いだし、いつの間にか背筋が伸びていた。そんな小説でした。
読了日:6月7日 著者:浅田次郎


もしも人生をやりなおせるなら If I had my life to live overもしも人生をやりなおせるなら If I had my life to live over感想
”きっといまより問題はふえるかもしれない  でも頭の中だけの心配事は減るだろう” この言葉、しかと胸に刻みこみました。 勝敗も定まらぬ前に戦がつらいと泣き言を言うまい。負けて腹切ればすむ話とも思うまい。一瞬一瞬を大切に生き、力つきるまで前に進むのみ。
読了日:6月7日 著者:ナディーン・ステア

 

 

一路(上) (中公文庫 あ 59-4)一路(上) (中公文庫 あ 59-4)感想
”神仏を恃(たの)む暇があるのなら、面倒をかけた人々に頭を下げよ、というのは亡き父の口癖であった”  感想は下巻にて。
読了日:6月6日 著者:浅田次郎

 

 


終着駅 (新潮文庫)

終着駅 (新潮文庫)感想
今年の4月16日に亡くなられた由、心からお悔やみ申し上げます。 その数日後、4月22日には舟戸与一氏も亡くなられました。両氏の小説はともに男っぽさを感じさせるニオイが似ている。特に白川氏はリリシズムとセンチメンタリズムとストイシズムが過剰気味。物語にひたっているうちはもうメロメロになっているのだが、夢から覚めるとちょっと恥ずかしくなるくらいのものだ。泣かせるけど泣かない、泣きたいけど泣けない、そんな小説、恥ずかしいけど好きだ。昭和のニオイを感じながら目一杯感情移入しました。うー・・・た・ま・ら・ん・・。
読了日:6月4日 著者:白川道

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