佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『殺しの報酬』(エド・マクベイン:著/ハヤカワ・ミステリ文庫)

『殺しの報酬』(エド・マクベイン:著/ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

歩道は霧雨に濡れ、若葉の芳香は待ちをゆく女の香りや都会の夜の匂いと睦み合っていた。街角を曲がった黒いセダンに、その男は気づきもしなかった。窓からライフル銃が顔を出す。一発の銃声。舗道の男の顔は粉みじんに吹っとび、車は逃走した……殺された男はプロの脅迫者だった。彼は何をネタに、誰をゆすっていたのか? また、脅迫者を殺害した犯人の真の殺しの報酬とは? 87分署の刑事たちは、にわかに活気を帯びはじめた!

 脅迫に絡む殺人事件を追い、その活動の実態をリアルに描きだす警察小説の白眉。 

 

 

殺しの報酬 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-7 87分暑シリーズ)

殺しの報酬 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-7 87分暑シリーズ)

 

 

  87分署シリーズ第7弾。

 捜査過程が淡々と描かれ、犯罪の全貌が明らかになる過程が感情の起伏を抑えた筆致で書かれている。シリーズ第7弾ともなると、87分署に所属する刑事になじみがあり、相当な思い入れがあるだけにこうした描き方も好ましく、むしろ過剰な刺激は不要だ。シリーズ随一の一冊を選ぶとして、おそらく本巻『殺しの報酬』が選ばれることはないだろう。それでもファンにとっては87分署の世界にどっぷり浸る幸せを感じる一冊であった。