ウェルズの日記

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『光媒の花』(道尾秀介・著/集英社文庫)

『光媒の花』(道尾秀介・著/集英社文庫)を読みました。月一の読書会「四金会」での今月(2015年8月)の課題書となったため再読しました。前に読んだのは2012年11月10日、約三年ぶりの再読になります。

まずは出版社の紹介文を引きます。

 認知症の母と暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した罪。心の奥に押し込めた、哀しみに満ちた風景を暖かな光が包み込んでいく。儚く美しい全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作

 

 

光媒の花 (集英社文庫)

光媒の花 (集英社文庫)

 

 

 風媒花、虫媒花、水媒花、鳥媒花、獣媒花と、花は様々な仲立ちを得て受粉する。はたして道尾氏の造語らしい「光媒の花」とは何を意味するのか。今回もそれを考えながら読むこととなった。

 全編を包みこむ「哀しみ」の空気。人々の「哀しみ」を見ながら舞う一匹の白い蝶。その蝶は哀しみに沈む人を光の射す方へと誘うかのごとく蝶の道をひらひらと飛ぶ。哀しみの先にあるかすかな光、その光によって命を吹き込まれる花(光媒の花)は哀しみに沈む人にとって救いであるに違いない。

 どうでも良いことだが、作中に出てくる「笹の花」は稲科の植物であるから風媒花である。だから何だ、といわれても困るが・・・