ウェルズの日記

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『月と蟹』(道尾秀介・著/文春文庫)

『月と蟹』(道尾秀介・著/文春文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

海辺の町、小学生の慎一と春也はヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。無邪気な儀式ごっこはいつしか切実な祈りに変わり、母のない少女・鳴海を加えた三人の関係も揺らいでゆく。「大人になるのって、ほんと難しいよね」―誰もが通る“子供時代の終わり”が鮮やかに胸に蘇る長篇。直木賞受賞作。 

 

 

月と蟹 (文春文庫)

月と蟹 (文春文庫)

 

 

上手い。鋭利で読みやすい文章、はっとさせられる独特の表現、人の心に潜むおどろおどろしさ、子どもの持つ残虐性、そうしたもの全てが読み手をとらえて放さない。全編を通じて心がざわつくのは何故だ。なにか見てはいけないモノを見てしまったような落ち着かない気分になるのは何故だ。正直なところ、そうした気分を味わうのは好きではない。好きではないのに読まずにいられない。道尾氏の筆力に屈してしまう。この気分は後を引きそうだ。次はあっけからんと楽しいモノを読むとしよう。健全な日常に戻してくれそうなモノを。