佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年8月の読書メーター

2015年8月の読書メーター

読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4296ページ
ナイス数:1907ナイス

 

2015年8月前半は中谷航太郎氏の「秘闘秘録 新三郎&魁」シリーズ を一気読み。シリーズものの困ったところは読み始めると読み切るまでやめられないとまらないかっぱえびせん状態になってしまうことだ。他にも読みたい本が山ほどあったがとにかく読み切ってしまった。めでたしめでたしなのだ。その後は直木賞受賞作家・道尾秀介氏の代表作を読み、五島列島クルーズに出かけた際には椎名誠氏、太田和彦氏の旅ものエッセイを携えて行った。旅を満喫できたことは言うまでもない。もう一つ、特筆すべきは朝井まかて氏を読んだこと。直木賞受賞で注目していたがこれまで未読であった。私好みの時代小説なので、今後ひととおり読むことになりそうだ。



私の嫌いな10の言葉 (新潮文庫)私の嫌いな10の言葉 (新潮文庫)感想
頭の良い人はたいへんです。人々が当たり前のように言う言葉の裏に潜むウソをすぐに見抜いてしまうのですから。私は中島氏のようにあらゆる欺瞞にいちいち目くじらを立てる生き方をする気はありません。とはいえ、氏の仰ることに頷けることが多いのも事実。たとえば「生きているだけですばらしい」とか「そのままでいい」などという嘘くさい言葉は私も死ぬほど嫌いです。私も命よりも大切なものはあると思いますし、世の中は「そのまま」で生きていけるほど優しくはないと考えています。

読了日:8月30日 著者:中島義道


花競べ  向嶋なずな屋繁盛記 (講談社文庫)花競べ 向嶋なずな屋繁盛記 (講談社文庫)感想
『恋歌』で直木賞を受賞されたので注目していたが、朝井まかて氏は初読みである。友人のRさんが朝井氏にはまっていらっしゃると聞き、あぁそうであった私も読まねばと手に取りました。これが処女作とはびっくり。何に驚いたと言って読み物としてのおもしろさが抜群なのです。特に登場人物が皆魅力に溢れており、それぞれの人物に感情移入し幸せを願わずにいられなくなります。こんな気持ちどこかで感じたなぁと考えてみると、そうです髙田郁氏の「みをつくし料理帳」シリーズでした。髙田氏にはずいぶんはまりましたが朝井氏にもはまりそうな予感。
読了日:8月27日 著者:朝井まかて


旅に出る ゴトゴト揺られて本と酒 (ちくま文庫)旅に出る ゴトゴト揺られて本と酒 (ちくま文庫)感想
「心惑わす活字生活」と題したシーナ氏気に入り本の紹介がやばい。紹介された本一三三冊全てを買うわけにはいかない。ここは「買いたい、読みたい」気持ちをグッとこらえて数冊に絞り込もうではないか、と冷静な判断した。『ぶっかけ飯の悦楽』『母のないキッチンで』『かわらの小石の図鑑』『カミハタ探検隊熱帯魚の秘境を行く』『古生態図集・海の無脊椎動物』『もしも月がなかったら』『わしの新聞』『私の嫌いな10の言葉』『チャリンコ日本一周記』ちなみに絞りに絞った結果、最後の最後に購入をあきらめた本は『うんち大全』であった。(笑)

読了日:8月24日 著者:椎名誠


ごっくん青空ビール雲 (文春文庫)ごっくん青空ビール雲 (文春文庫)感想
にっぽん丸のベランダに腰掛け、海を観ながら読みました。2009/2/19~2010/3/18に週刊文春に連載された"赤マント”シリーズ。この時期のシーナ氏は冴えてますね。ユーモアのセンス、世の中のおかしなモノに怒る鋭い視点、たいへん楽しく読ませていただきました。思い起こせば1981年の春、書店の新刊コーナーでふと手に取り立ち読みした『かつおぶしの時代なのだ』を読んで以来かれこれ34年間、飽きずにシーナ氏のエッセイを読み続けている。ビールを飲みながらシーナ氏のエッセイを読む時間を私は幸いとしているのだ。
読了日:8月22日 著者:椎名誠


アゴの竹輪とドイツビール (集英社文庫)アゴの竹輪とドイツビール (集英社文庫)
太田和彦氏は背筋の伸びた酒飲みだ。横浜、奈良、鳥取、松本、函館、小田原、鎌倉、木曽をひとり旅。旅先での食べ物屋、特に居酒屋へのこだわりは尋常ではない。かといって大げさに騒いだり、えらそうに蘊蓄を傾けたりはしないのだ。藤沢「久昇」、奈良「酒肆春鹿」、鳥取「はせ川」、松本「旬菜ふきよせ」、小田原「だるま料理店」に行きたい。いずれ行きます。きっと行きます。
読了日:8月21日 著者:太田和彦

 

いっぽん海まっぷたつ (角川文庫)いっぽん海まっぷたつ (角川文庫)感想
長崎県五島列島への3日間のクルーズ中に読もうと持ってきた四冊のうちの一冊。本をバッグに詰め込んで旅をするのはシーナ氏と同じ行動パターンだ。荷物が重くなるがシーナ氏曰く「重さに対するおびえより、本を持っているという精神の安定度のほうがいいんだよ」 まさに我が意を得たり。作中にシーナ氏は五島列島の椿うどんが好きだと書いている。明日は五島うどんを食べよう。暑い季節だが「地獄炊き」にしよう。原稿が締め切りに間に合わないときの目黒考二氏とシーナ氏の電話でのやりとりが面白い。
読了日:8月21日 著者:椎名誠


くねくね文字の行方 (角川文庫)くねくね文字の行方 (角川文庫)感想
本の雑誌』の読者でなく、目黒孝二、沢野ひとし木村晋介太田和彦、こうした名前を聞いて「誰、それ?」という人には本書はあまり楽しめないだろう。逆に目黒孝二が北上次郎と同一人物と知っており、沢野ひとしがウマヘタ絵を描く画伯であると知っており、木村晋介オウム事件当時、坂本弁護士一家救出運動に尽力したと知っており、太田和彦が背筋を伸ばした酒飲みであることを知っており、椎名誠沢野ひとし木村晋介と聞けば「克美荘」を思い浮かべる程度の知識のある人にはたまらなくおもしろい本だろう。
読了日:8月19日 著者:椎名誠


月と蟹 (文春文庫)月と蟹 (文春文庫)感想
上手い。鋭利で読みやすい文章、はっとさせられる独特の表現、人の心に潜むおどろおどろしさ、子どもの持つ残虐性、そうしたもの全てが読み手をとらえて放さない。全編を通じて心がざわつくのは何故だ。なにか見てはいけないモノを見てしまったような落ち着かない気分になるのは何故だ。正直なところ、そうした気分を味わうのは好きではない。好きではないのに読まずにいられない。道尾氏の筆力に屈してしまう。この気分は後を引きそうだ。次はあっけからんと楽しいモノを読むとしよう。健全な日常に戻してくれそうなモノを。
読了日:8月16日 著者:道尾秀介


光媒の花 (集英社文庫)光媒の花 (集英社文庫)感想
風媒花、虫媒花、水媒花、鳥媒花、獣媒花と、花は様々な仲立ちを得て受粉する。はたして道尾氏の造語らしい「光媒の花」とは何を意味するのか。今回もそれを考えながら読むこととなった。全編を包みこむ「哀しみ」の空気。人々の「哀しみ」を見ながら舞う一匹の白い蝶。その蝶は哀しみに沈む人を光の射す方へと誘うかのごとく蝶の道をひらひらと飛ぶ。哀しみの先にあるかすかな光、その光によって命を吹き込まれる花(光媒の花)は哀しみに沈む人にとって救いであるに違いない。
読了日:8月14日 著者:道尾秀介


シャクシャインの秘宝: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)シャクシャインの秘宝: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)感想
大いなるものの意志を知った時、人は欲を捨て、遺恨を乗り越えて理解し合える。おそらくそれは人本来の姿に立ち返ったということなのだろう。私心を去り、大いなる意思のために命をも惜しまず闘う。そして、善を好み他者を受け入れることができる者こそが大いなる意思を現実のものとすることができる。著者・中谷氏が込めた思いはそうした考えではないか。「私心を去り」「善を好む」これができる者がいれば国は安泰である。曲解かもしれないが、中谷氏は吉田松陰を信奉していらっしゃるのではないか。吉田松陰が好きな私の穿った見方だろうが・・・
読了日:8月13日 著者:中谷航太郎


アテルイの遺刀: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)アテルイの遺刀: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)感想
このシリーズも物語がいよいよ佳境に入ってきた。「覇王のギヤマン」をめぐる動きがめまぐるしい。それにしても「覇王のギヤマン」がどういう意味を持つのか、カムイの意志は何を目指しているのか、相変わらず不明のままである。私の中で早く真実を知りたい欲求は沸点を超えた。そんな「早く続きを読ませろ」状態の中でこの終わり方、ずるいぞ中谷航太郎。この時点で次作を読まずにいられる読者はいるものか。はいはい、読みますよ。次は『シャクシャインの秘宝』、いよいよ完結編だ。
読了日:8月11日 著者:中谷航太郎


覇王のギヤマン: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)覇王のギヤマン: 秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)感想
ルイス・ソテロから信長、光秀、秀吉、家康と渡っていったという「覇王のギヤマン」。それを巡る死闘には迫力があり、時の将軍・吉宗をも巻き込んだ物語の展開はおもしろい。しかし、それらすべてが神がかりなものにあやつられているかのごとき書きぶりはどうなのだろう。新三郎と魁の活躍を期待し、ヒーローとする読者にとっては、この展開にそこはかとない不満を抱くものである。とはいえ、続きが気になるので続編『アテルイの遺刀』を読むことにする。
読了日:8月9日 著者:中谷航太郎


オニウドの里―秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)オニウドの里―秘闘秘録 新三郎&魁 (新潮文庫)感想
蜘蛛一族との死闘が忍者活劇としておもしろくワクワクしながら読んだ。シリーズ第3作にして、いよいよエンジン全開。次作の舞台は江戸か。将軍吉宗もからみ壮大な筋立てになっていくのか? シリーズ第4作『覇王のギヤマン』を手に取った。もう、やめられない、とまらない。あぁ、また今夜も寝不足だ。
読了日:8月4日 著者:中谷航太郎


死が二人を (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13-10))死が二人を (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13-10))感想
87分署シリーズ・第9弾。シリーズに多く登場するスティーヴ・キャレラの妹の結婚式に絡む殺人計画。キャレラがイタリア系アメリカ人だけに、作品全体に漂うキャレラ家の家族愛が味わいを加えている。殺人も格闘場面もあるものの、最後はめでたしめでたし。コットン・ホースとクリスチン・マクスウェルの恋の駆け引きも微笑ましく、今後どんな展開を見せるのか楽しみ。ついにスティーヴとテディの間の子供が生まれた。「両方だ」って双子ってこと?
読了日:8月1日 著者:エド・マクベイン



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