ウェルズの日記

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『若き数学者のアメリカ』(藤原正彦・著/新潮文庫)

『若き数学者のアメリカ』(藤原正彦・著/新潮文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

 国家の品格』の藤原正彦が若き日の苦悩を描く、感動の米国武者修行!

1972年の夏、ミシガン大学に研究員として招かれる。セミナーの発表は成功を収めるが、冬をむかえた厚い雲の下で孤独感に苛まれる。翌年春、フロリダの浜辺で金髪の娘と親しくなりアメリカにとけこむ頃、難関を乗り越えてコロラド大学助教授に推薦される。知識は乏しいが大らかな学生たちに週6時間の講義をする。自分のすべてをアメリカにぶつけた青年数学者の躍動する体験記。

 

若き数学者のアメリカ (新潮文庫)

若き数学者のアメリカ (新潮文庫)

 

 

「夜の天井は星屑であり、下には不動の暗黒があった」

この書き出しにいきなりやられてしまった。『国家の品格』を読んでわかっていたことではあるが、藤原氏の文章は数学者のそれではない。いや、しばしばオイラーの等式がその神懸かった美しさを持つと礼賛されるように、数学者とは「真理」を追い求めつつ「美」を至上の位におく芸術家なのかもしれない。そうであれば、氏の文章が示唆に富むと同時に詩的であることも肯ける。私ごときが偉そうなことを言ってしまった。ともかく氏の文章に酔いしれるとともに、ものの見方、考え方に触発され、気がついたら一気に読み終えていた。刺激的な時間に感謝。