佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年9月の読書メーター

 

2015年9月の読書メーター

読んだ本の数:8冊

読んだページ数:2736ページ
ナイス数:1380ナイス

 

久しぶりに荻原浩氏を読み、もっともっと荻原氏の小説が読みたくなった。朝井まかて氏の小説も追いかけることになりそうだ。藤原正彦氏のエッセイが好きだ。一五冊ばかりまとめ買いしてしまった。積読本はどんどん溜まっていくのに、一日は二四時間、一年間は三六五日しかない。どうしよう。



数学者の言葉では (新潮文庫)数学者の言葉では (新潮文庫)感想
「数学と文学のはざまにて」と題され、数学と文学の同質性と異質性に言及したパートに特に興味を引かれた。すなわち「数学と文学どちらも芸術として美と調和を追求する同質性を持つが、追求の方法において異質性を持つ。数学においては数学的感覚に基づいた論理であり、文学においては文学的感性に支えられた表現技術である」ということ。また文学が永遠を希求しつつ「人生が有限であること」を見つめるのに対し、数学は人間、時間、空間から完全に解放された透徹した目を持ち永遠の真理に到達するものなのだと理解した。うーん、なるほどと唸った。
読了日:9月30日 著者:藤原正彦


花のさくら通り (集英社文庫 お 52-5)花のさくら通り (集英社文庫 お 52-5)感想
荻原氏の最新刊。北上次郎氏の解説を読んで知ったことだが本書は「ユニバーサル広告社シリーズ」第3弾らしい。しまった。私としたことが第1弾、第2弾を読み飛ばすとは・・・とほほ。しかし然もありなん。ここ5年ばかり荻原氏の小説を読んでいないのだ。今、本書を読み終えて再び荻原浩萌え~な気持ちに火がついてしまったようだ。さっそくシリーズ第1弾『オロロ畑でつかまえて』、第2弾『なかよし小鳩組』を発注。ついでに『母恋旅烏』、『さよならバースディ』も発注してしまったぞ。どうやらこの秋は荻原浩にどっぷりはまりそうだ。
読了日:9月29日 著者:荻原浩


ニッポンの酒 (えるまがMOOK)ニッポンの酒 (えるまがMOOK)感想
今、がんばっている酒蔵、行って楽しい酒蔵、燗を極める居酒屋、人気の日本酒居酒屋、立ち飲み、角打ち、新世代割烹、蕎麦前、日本酒バー、美人女将の店などなど、関西に住む日本酒好きにはたまらない一冊です。店の雰囲気や味を想像しながら頁をめくることのなんと楽しいことか。極楽です。日本酒に限らずビール、焼酎、ワイン、ウイスキー、国産ラムを紹介するページもあり、自分なりの居酒屋めぐりを組み立てる楽しみに酔いしれました。
読了日:9月27日 著者:


GINGER L。20GINGER L。20感想
森見登美彦氏は相変わらずの妄想家でいらっしゃる、というか強烈な妄想癖は健在である。そして其の妄想を表した文章には「カレー粉」のごときコクがある。そうなのだ。私はこの独特のコクを味わいたくて森見氏の文章を探し求めるのだ。だが気をつけるが良い。森見氏の文章は少量であれば味わい深い。しかし読み過ぎるとめくるめく森見ワールドに絡め取られてしまいかねないのである。「カレー粉はほんの少し使うことでコクがでる。だが使いすぎるとみなカレーになってしまう」  森見氏の文章も然り。カレー粉に負けず劣らず危険である。取扱注意。
読了日:9月22日 著者:


若き数学者のアメリカ (新潮文庫)若き数学者のアメリカ (新潮文庫)感想
「夜の天井は星屑であり、下には不動の暗黒があった」この書き出しにいきなりやられてしまった。藤原氏の文章は数学者のそれではない。いや、しばしばオイラーの等式がその神懸かった美しさを持つと礼賛されるように、数学者とは「真理」を追い求めつつ「美」を至上の位におく芸術家なのかもしれない。そうであれば、氏の文章が示唆に富むと同時に詩的であることも肯ける。私ごときが偉そうなことを言ってしまった。ともかく氏の文章に酔いしれるとともに、ものの見方、考え方に触発され、気がついたら一気に読み終えていた。刺激的な時間に感謝。
読了日:9月18日 著者:藤原正彦


日本文学100年の名作第1巻1914-1923 夢見る部屋 (新潮文庫 し 23-1)日本文学100年の名作第1巻1914-1923 夢見る部屋 (新潮文庫 し 23-1)感想
谷崎潤一郎小さな王国』、内田百閒『件』、稲垣足穂『黄漠奇聞』、江戸川乱歩二銭銅貨』はすばらしい。100年の名作に選ぶことに異議なし。逆に荒畑寒村『父親』、宮地嘉六『ある職工の手記』、宇野浩二『夢見る部屋』には異議あり。といって、私に小説の良さを理解する能力がないだけなのかも知れないが。まあ、私の好みの問題ですから。
読了日:9月13日 著者:


清須会議 (幻冬舎文庫)清須会議 (幻冬舎文庫)感想
いやぁ、おもしろい。つまらないページが1ページもないのだ。三谷氏の発想は常人のそれを超越している。かといって、三谷氏のシナリオが常人に理解できないわけではない。三谷氏は我々普通の人間のことを、いや普通でない人も含めて様々な人間を徹底的に観察し知り尽くした上でシナリオを書いている。全編をモノローグのみで通した形式、そのモノローグを現代語で語らせたアイデアは斬新である。しかもその斬新な手法によって時代劇が台無しになるどころか、より登場人物の心情を微細に奥深く感じ取ることができるのだ。すばらしい。
読了日:9月5日 著者:三谷幸喜


ちゃんちゃら (講談社文庫)ちゃんちゃら (講談社文庫)感想
正直なところデビュー作『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』のほうが良かった気はする。とはいえ充分な読み応えがあり、私好みの時代小説でした。朝井氏の作品を通読するつもりです。作中、登場人物のご隠居に語らせた次の言葉が印象的だった。「死ぬのもええもんやと思いますわ。皆、死ぬために生きている。いつか死ねるから、生きてられる。この世におるのもあと少しやと思うたら、どんなに辛かったことも懐かしいもんになる」
読了日:9月1日 著者:朝井まかて

読書メーター