まずは出版社の紹介文を引きます。
レンタル家族派遣業というけったいなビジネスを営む花菱家は、元は大衆演劇の役者一家。父・清太郎に振り回される日々に、ケンカは絶えず借金もかさみ家計は火の車。やがて住む家すらも失い、かつてのよしみで旅回りの一座に復帰することになったのだが…。はてさて一家6人の運命やいかに!?刊行時、たっぷりの笑いと涙を誘い、最大級の評価と賛辞を集めた傑作! 待望の新装文庫化。
荻原氏の最高傑作との呼び声が高い本作ではあるが、何となく入り込むのに時間がかかった。17歳になる主人公・寛二の小学生のような語り口(これには荻原氏なりの意図があるように思えるのだが)にすんなり馴染むことができなかったが故である。しかしそれに慣れさえすればいつもの荻原氏の世界だ。「笑い」と「涙」、それこそが荻原氏の真骨頂。登場人物それぞれの幸せを願い応援しながら読みました。