佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『決定版 この国のけじめ』(藤原正彦・著/文春文庫)

『決定版 この国のけじめ』(藤原正彦・著/文春文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

ベストセラー『国家の品格』の骨格ともなった痛快な時事評論から意表を衝く教育論、爆笑を誘う愛妻や友人との身辺随想まで、ユーモア溢れる藤原節で暗い気分も吹っ飛ぶこと間違いなし。文庫化にあたって、2007年に掲載された『文藝春秋』掲載の論文二篇(「国家の堕落」「教養立国ニッポン」)も追加収録。

 

決定版 この国のけじめ (文春文庫)

決定版 この国のけじめ (文春文庫)

 

 

藤原氏の存意は概ね次のようなことかと思われる。

日本はもともと世界から尊敬されて然るべき美しき国であった。それは多くの国民が大義に生き正義を信条としてきたからである。かつて日本人は矜持を持って生きてきた。武士道の真髄である惻隠の情をもって物事に対処してきた。そうした高貴なふるまいを尊んできた国民が大東亜戦争に敗れ、アメリカの巧みな情報操作によって、日本人が長く大切にしてきた価値観を見失い、あたかも欧米の価値観が正しいように思い込んでしまった。その最たるものが市場原理主義である。それによって日本的な良いもの、日本の強みは大きく傷つけられてしまった。この国はいつから強い者が弱い者を踏みつけ”負け組”などと嘲笑するような国になってしまったのか。金さえ儲かれば心の有り様などどうでもよいという下品な国になってしまったのか。日本人はもう一度金を持つことよりも、礼節をわきまえ教養を身につけ誇り高く生きることに価値を見いだす民族に回帰せねばならない。たかが経済に右往左往するな。本当に大切なのは教養であり文化であり惻隠という心の有り様なのだ。

その通りだと私も思います。