佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『とせい』(今野敏・著/中公文庫)

『とせい』(今野敏・著/中公文庫)を読みました。

今野敏氏の「任侠シリーズ」第一弾であり、現在は『任侠書房』と改題されている。この任侠シリーズ三部作は山﨑杉夫氏のデザインによるユーモラスな新装カバーの効果もあり売上げ好調という。

まずは出版社の紹介文を引きます。

 日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、今時珍しく任侠道をわきまえたヤクザ。その阿岐本組長が、兄弟分の組から倒産寸前の出版社経営を引き受けることになった。舞い上がる組長に半ば呆れながら問題の梅之木書房に出向く日村。そこにはひと癖もふた癖もある編集者たちが。マル暴の刑事も絡んで、トラブルに次ぐトラブル。頭を抱える日村と梅之木書房の運命は?

 

 

任侠書房 (中公文庫)

任侠書房 (中公文庫)

 
とせい (中公文庫)

とせい (中公文庫)

 

 

 

任侠学園 (中公文庫)

任侠学園 (中公文庫)

 

 

 

任侠病院 (中公文庫 こ)

任侠病院 (中公文庫 こ)

 

 

まず私はこの『とせい』の図書コードに着目する。「C1193」となっている。間違いない。出版社が間違って付けたかもしれないが、間違いなく”C”に続く数値は”1”と表記されている。分類記号第1桁の意味は「販売対象」。本書の販売対象は”0”(一般)ではなく”1”(教養)となっているのである。”1”(教養)とは「教養面を主体とした内容のもので、知識階層を対象としたもの」なのだ。まさに私のような者のための書なのだ。文句はない。文句はないが「そうなのか?」という疑問を禁じ得ない。しかし本書は任侠娯楽小説の体を成しながら仕事小説であり人の生きる道を説いた人生指南の書であることは確かだ。