佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『天切り松 闇がたり 第二巻 残俠』(浅田次郎・著/集英社文庫)

『天切り松 闇がたり 第二巻 残俠』(浅田次郎・著/集英社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

ある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。その名も山本政五郎―すなわち幕末から生き延びた、清水の次郎長の子分・小政だというのだが…。表題作「残侠」など、天下の夜盗「天切り松」が六尺四方にしか聞こえぬ闇がたりの声音で物語る、義賊一家の縦横無尽の大活躍八編。粋でいなせな怪盗たちが大正モダンの大東京を駆け抜ける、感動の傑作シリーズ第二弾。

 

残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)

残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)

 

 

 電車の中で読み、周りに涙を見られまいと大変でした。血のつながりがあるだけ憎しみは深い。憎しみは愛情の裏返しだ。博奕で家族を不幸のどん底に突き落とし、母と姉を死なせた父を赦すことができたとき松蔵は大人になったのだなぁ。

 意地を張り通したとしてそれが何になる? そんなことは百も承知のうえだ。何にもならない意地を張り通すことこそが心意気ってものだ。地位も名誉も何も持たぬ者が「おめえにこんなことができるかい、やれるものならやってみろい」とばかりに己の全てを懸けていきがってみせる。それこそが「粋」ってものだ。