佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年11月の読書メーター

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4063ページ
ナイス数:2059ナイス

 

先月はけっこうピカレスクものを読みました。12月はその流れで久しぶりにI・W・G・Pシリーズを読もうと思います。

よつばと! (13) (電撃コミックス)よつばと! (13) (電撃コミックス)感想
待ちに待った13。何気ない日常がキラキラ輝いています。『よつばと!』は忘れていたそんな感覚を思い出させてくれます。掃除でも本気でやれば楽しい、か・・・  Enjoy everything !
読了日:11月29日 著者:あずまきよひこ

 


オー!ファーザー (新潮文庫)オー!ファーザー (新潮文庫)感想

やはりスゴイよ、伊坂さん。軽妙洒脱で気の利いた会話、魅力的なキャラ、深まる謎、予想のつかない展開、作中あちこちにちりばめた伏線とその見事な回収、読後感、何をとっても高得点です。読み始めたときから読み切るまで読者を捉えて放しません。一番の謎は由紀夫の母親。現実にこんな人がいれば一度は会ってみたいですね。なんなら五人目に加えていただいてもイイ。(笑)
読了日:11月28日 著者:伊坂幸太郎


なでしこ御用帖 (集英社文庫)なでしこ御用帖 (集英社文庫)感想
宇江佐さん追悼のつもりで、まだ読んでいない本書を選びました。宇江佐さんの御本は22冊目です。御用帖との題名から捕物帖のイメージで読み始めたのですが、むしろ人情恋物語といったところ。むしろその方が宇江佐さんらしい。楽しませていただきました。やはり宇江佐さんの小説はイイ! ほんわり温かで、人間の良い面を信じようという気になります。順序が逆になってしまったようですが次は『斬られ権佐』を読みます。
読了日:11月26日 著者:宇江佐真理


任侠病院 (中公文庫 こ)任侠病院 (中公文庫 こ)感想
はたしてこの世にいいヤクザはいるのだろうか? そんなことを云えば、なにをバカなと一笑に付されてしまうのが落ちでしょう。しかしヤクザを「悪」と信じて疑わない人にこの任侠シリーズを読んでみていただきたい。そして浅田次郎氏の『プリズンホテル』『天切り松 闇がたり』シリーズも読んでいただきたい。それでもヤクザを100%「悪」と言い切ってしまう人は立派な人です。これらの小説を読んで笑いもせず、泣きもせず、ヤクザごときが何をと一笑に付す人はものすごく正しい人です。ただ私はそのような人と友達にはなりたくありません。
読了日:11月24日 著者:今野敏


任侠学園 (中公文庫)任侠学園 (中公文庫)感想
とにかく楽しい。それだけでなく日本人が失ってしまった大切なものを思い出させてくれます。それは「恥の文化」です。人間として恥ずかしくない行い、そういう生き方ができないならば死んだ方がましだという感覚です。ヤクザの行動様式から学ぶなどといえば何をバカなと非難される時代です。しかし真っ当な市民を名乗る者の中にもとんでもない卑劣漢がいることも事実。ヤクザの方がよほどましだろうという輩です。自分が気に入らないことに文句をいっていれば済むと思っている輩、権利ばかり主張して自らは何も背負わない輩、恥を知りなさい。
読了日:11月18日 著者:今野敏


天切り松闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝 (集英社文庫)天切り松闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝 (集英社文庫)感想
日本人の気質の美しさ、上品さを支えていたものとして「やせ我慢」がある。これは本書の解説にすまけいさんが書いていらっしゃったことだ。日本人に限らず「かっこよさ」に繋がる基本態度は「やせ我慢」だといって良いだろう。というのは世界にあまたあるハードボイルド小説の主人公に共通する美質が「やせ我慢」だからだ。目細の安吉親分、振袖おこん、説教寅弥、黄不動の栄治、百面相の常、天切り松と登場人物全てがとびっきりカッコイイ。彼らは皆、一つの規範を持って生きている。それは金より、命より、筋目を通すことを大切にすることだ。
読了日:11月18日 著者:浅田次郎
天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)感想
銭金が大事だと云ってもせいぜい命の次だろう。男にゃ命より大事なものがある。いやさ女だって同じだ。通さずばならねえ筋さえ通して生きりゃあ、男は男、女は女だ。最近私は困ったときには心の中でこの言葉を何度も呟くことにしている。「俺は男だ。俺は男だ。俺は・・・」
読了日:11月15日 著者:浅田次郎

 


残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)感想
意地を張り通したとしてそれが何になる? そんなことは百も承知のうえだ。何にもならない意地を張り通すことこそが心意気ってものだ。地位も名誉も何も持たぬ者が「おめえにこんなことができるかい、やれるものならやってみろい」とばかりに己の全てを懸けていきがってみせる。それこそが「粋」ってものだ。電車の中で読み、周りに涙を見られまいと大変でした。血のつながりがあるだけ憎しみは深い。憎しみは愛情の裏返しだ。博奕で家族を不幸のどん底に突き落とし、母と姉を死なせた父を赦すことができたとき松蔵は大人になったのだなぁ。
読了日:11月14日 著者:浅田次郎
闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)感想
「たかが盗っ人風情が偉そうなことを云うんじゃねぇ」と言ってしまえばそれまでだ。黒にもいろいろある。自分が白いといって黒を嘲笑う者は、自分が混じりけのない白ではないことを知りはしない。赤貧洗うがごとき身の上にあって、身を穢し、悪に手を染めたとしても、心のあり方だけは真っ白でありたいと願う心が切ない。苦界に身を落とし、運命にあらがえないと覚悟した人間が命を懸けてとおす最後の意地、滅びの美学をよっく耳をかっぽじって聴きやがれ。ピカレスク・ロマンここに極まれり。
読了日:11月11日 著者:浅田次郎


赤猫異聞 (新潮文庫)赤猫異聞 (新潮文庫)感想
またしても浅田次郎氏の得意技が炸裂。心根に気高さを持ちながら貧賤な者と貶まれる人間の一分を立てることにおいて、浅田氏ほどの手練れは滅多にいない。主人公たちに見得を切らせる場面はまさに鳥肌もの。良き小説にござった。
読了日:11月7日 著者:浅田次郎

 


刀圭 (光文社時代小説文庫)刀圭 (光文社時代小説文庫)感想
生きていれば仕方が無いと了見できない理不尽があるものだ。流行病、火事、天災、謂われなき中傷。そうしたときにどうして皆が助け合い励まし合って生きて行けないのだろうと悔しい思いが募る。しかし世の中、本音と建て前、裏と表、皆がそれぞれ事情を抱えている。皆が己と己に近しい者を守るのに精一杯なのだ。邪な考えを持つ者も多い。怪我や病を得て苦しむ人を唯々助けたいという純粋な思いは現実の前でしばしば思うに任せない。主人公・圭吾の葛藤は懸命に生きようとする者すべてに通底する祈りに似た想いだろう。真っ直ぐな小説でした。
読了日:11月4日 著者:中島要


とせい (中公文庫)とせい (中公文庫)感想
私は本書の図書コードに着目する。「C1193」となっている。間違いない。出版社が間違って付けたかもしれないが、間違いなく”C”に続く数値は”1”と表記されている。分類記号第1桁が”0”(一般)ではなく”1”(教養)となっているのである。その意味は「教養面を主体とした内容のもので、知識階層を対象としたもの」なのだ。まさに私のような者のための書なのだ。文句はない。文句はないが「そうなのか?」という疑問は残る。確かに本書は任侠娯楽小説の体を成しながら仕事小説であり人の生きる道を説いた人生指南の書である。(笑)
読了日:11月3日 著者:今野敏

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