『灰色のピーターパン - 池袋ウエストゲートパークⅥ』(石田衣良・著/文春文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
池袋は安全で清潔なネバーランドってわけじゃない。盗撮画像を売りさばく小学5年生が、マコトにSOSを発してきた。“まだ人を殺してない人殺し”マッドドッグ相手にマコトの打つ手は?街のトラブルシューターの面目躍如たる表題作など4篇を収録したIWGPシリーズ第6弾。
灰色のピーターパン―池袋ウエストゲートパーク〈6〉 (文春文庫)
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 文庫
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「春がまためぐってくるように、おれたちの心には自分自身の傷を修復しようという自然の治癒力があるはずなのだ。そうでなければ、心なんて不便なものを、誰が一生もって歩くというのだろうか」(本書P126より) ディストピアとしての池袋、その街の中で醜い状況や厳しい現実を見ながらもマコトは人らしい心を失わない。それはそんな街に住む者の中にも確かな良心が存在すると信じようとする行為。祈りにも似た行為だろう。