佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『京都ぎらい』(井上章一・著/朝日新書)

『京都ぎらい』(井上章一・著/朝日新書)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

あこがれを集める歴史の都・京都! そんな古都を「きらい」と明言するのは、京都育ちで、ずっと京都に住んでいる著者だ。千年積もった洛中人の毒や、坊さんと舞子さんとのコラボレーションなど、「こんなん書いてええのんか?」という衝撃の新京都論。 

 

 

京都ぎらい (朝日新書)

京都ぎらい (朝日新書)

 

 

 ここに書かれた京都人(限定的に洛中人をさす)評はけっして井上氏の曲解や偏見ではないだろう。おそらく本当のことだ。洛中人にあるそれ以外の京都府在住者への侮蔑は本当にいやらしい。しかし、こうした差別的感情は多くの人が持っている。高校や大学の格付けなどもその一つであろう。国公立と私立。昔は国公立の中でも一期校と二期校といった差があった。私はとても一流とはいえない大学の卒業者であるが、そんな私の中にも差別的いやらしさが確かにある。洛中人をいやらしいと言うこともおこがましい。恥ずかしい限りである。

 それにしても、中京の老舗の娘が三〇歳を超えてろくな縁談がこないと嘆く話には驚いた。その嘆きは「とうとう、山科の男から話があったんや。もう、かんにんしてほしいわ」というもの。山科の何がいけないのかを尋ねられた答えが振るっている。

「そやかて、山科なんかいったら、東山が西のほうに見えてしまうやないの」

 呆れをとおりこして笑ってしまった。 

 もう一つ、上七軒のふりがなを(かみしちけん)ではなく(かみひちけん)とふってあるのにも笑ってしまいました。井上氏は自分のことを京都人ではないと言うが、こうしたところはしっかり京都人だ。