ウェルズの日記

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『書を捨てよ町へ出よう』(監督・脚本:寺山修司/1971年制作)

映画『書を捨てよ町へ出よう』(監督・脚本:寺山修司/1971年制作)を観ました。

内容は次の通り。

 「映画館の暗闇の中でそうやって腰掛けて待ってたって何も始まらないよ…」と主人公が観客をなじる。北村英明は21歳。予備校通いもやめてブラブラしている。戸塚の都電沿線の廃墟のような貧乏長屋で、万引き常習犯の祖母、無職の父親、ウサギを偏愛する引きこもりの妹と暮らしている。英明には憧れの人がいる。その彼は大学のサッカー部で主将を務め、美人の彼女をもち、良いアパートに住み、左翼思想にかぶれ、英明をかわいがり、そしてけしかける。英明は人力飛行機に乗って、抑圧された環境からの脱出を夢見る。青年の鬱屈した青春を過激なミュージカルと実験映像を交えて挑発的に描く。

 

 

 

「書」を既成概念やルールと解釈してみる。それは机上のものだ。当然それは理想を含むきれい事にすぎない。だとすると「町」は不完全な現実であり不条理と解釈できるのではないか。町は猥雑であり、ゴミとクズに溢れている。人もその一つだ。いや、この映画そのものもクズだ。私は1959年生まれである。1970年代を若者として過ごした一人として寺山氏の言いたいことやいらだちの原因はなんとなく分かる気がする。しかしこの映画を高く評価する気にはならない。ただ、この映画と書籍の『書を捨てよ、町へ出よう』は別物だ。私は寺山氏の映画を捨て、書に戻ろうと思う。

 

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)