佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『光圀伝 上・下』(冲方丁・著/角川文庫)

『光圀伝 上・下』(冲方丁・著/角川文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

第3回山田風太郎賞受賞!
尋常ならざる熱量で、その鮮烈な生涯を活写した
魂震わす渾身の1500枚! 解説=筒井康隆


「我が大義、必ずや成就せん」――老齢の光圀が書き綴る人生は、“あの男”を殺めた日へと近づく。
義をともに歩める伴侶・泰姫と結ばれ、心穏やかな幸せを掴む光圀。盟友や心の拠り所との死別を経て、やがて水戸藩主となった若き“虎”は、大日本史編纂という空前絶後の大事業に乗り出す。光圀のもとには同志が集い、その栄誉は絶頂を迎えるが――。
“人の生”を真っ向から描く、至高の大河エンタテインメント!  

 

光圀伝 (上) (角川文庫)

光圀伝 (上) (角川文庫)

 
光圀伝 (下) (角川文庫)

光圀伝 (下) (角川文庫)

 

 

 前段、子龍(光圀)が兄・竹丸(頼重)を思う気持ちに心振るわせ、竹丸が子龍を思う気持ちに心打たれ、二人が別れる場面に涙した。中段、光圀と林読耕斎との友情の芽生えを喜んだ。後段、泰姫の登場に雀躍した。泰姫の清潔な正直さ、誠実さは光圀の心のオアシスになるに違いない。欺瞞の泥にまみれながらも、一片の清潔を守り通す白蓮のごとき誠意とは斯くも可憐なものか。可憐でありかつ高潔な白蓮のごとき泰姫に膝枕をしてもらう光圀、うらやましいぞっ!

  と、ここまでが上巻。

 泰姫に魅了された私は勢い込んで下巻を読んだのである。それなのに、あぁ、泰姫がそんなに早く・・・。仲むつまじかった光圀はさぞや無念であったろう。

 上下巻あわせて1040ページ堪能しました。テレビドラマを通じて持っていた水戸光圀像が完全に覆りました。どうやら偏見を持ってしまっていたようです。と、ここまで書いて冲方丁氏が描く水戸光圀像が正確かどうかも分からないことに気づいた。ま、いいか。水戸光圀、なかなか魅力的な人物です。それにも増して、私、すっかり泰姫のファンになってしまいました。