ウェルズの日記

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『月の上の観覧車』(荻原浩・著/新潮文庫)

『月の上の観覧車』(荻原浩・著/新潮文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

 

そこは、奇跡に会える場所。窓に映るは甘やかな記憶、苦い失敗、切ない過去──男には、どうしても会いたい人がいた。時の儚さと生のリアルを紡ぐ珠玉の八篇。

閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来──そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。  

 

 

月の上の観覧車 (新潮文庫)

月の上の観覧車 (新潮文庫)

 

 

 人は皆、幸せを希求する。幸せに恋い焦がれ、その程は「渇求」するといってもいいほどだ。でも思い描く幸せのかたちは人それぞれで、しばしばその想いはすれ違う。そして神様はいつも人間に意地悪で、思った通りの自分、描いたとおりの人生にはしてくれない。幸せは手に入れたと思った瞬間、するりとその手からこぼれ落ちてしまう。荻原氏はそうした悲しみに寄り添うように8編の短編を著した。男は弱い。女も弱いが男はどうしようもなく弱い。せめてもの一筋の光が欲しい。小説にはそれが出来る。本当に魔法はあるのだと教えてくれる。