『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』(河野裕・著/新潮文庫nex)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
これは僕の失恋であり、同時に、初恋の物語だ。七草は引き算の魔女を知っていますか――。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女? ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。
階段島シリーズ・第三作です。
過去、第一作、第二作を読んだ時の感想は以下のとおり。
第一作『いなくなれ、群青』
交流広場SNS::そんな眼をして俺を見るんじゃない、ランシング - いなくなれ、群青
第二作『その白さえ嘘だとしても』
http://blog.hatena.ne.jp/Jhon_Wells/jhon-wells.hatenablog.com/edit?entry=8454420450097477610
そしてこの第三作です。
相変わらず上手いです。ちょっとした言い回しに惹かれます。たとえば、
もしかしたらオレは、正直者でいたくて嘘をついていたのかもしれない
なんてことを、しれっと書くのですよ河野さんは。
第三作の舞台は階段島ではなく現実世界。七草は真辺を、真辺は七草をとても大切に思っている。何よりも大切に思っているからこそ、お互いがお互いを捨ててしまう。そしてどちらもそのことに傷ついているように思える。ひとり傷つくことが相手にとって一番辛いことだというのに。そして捨て去った自分の一部は階段島で生きている。本書終盤で舞台はふたたび階段島に戻り第四作へ続く。これは第四作もすぐに読まねばなるまいな。