佐々陽太朗の日記

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『ビブリア古書堂の事件手帖〈7〉 ~栞子さんと果てない舞台~』(三上延・著/メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖〈7〉 ~栞子さんと果てない舞台~』(三上延・著/メディアワークス文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 ビブリア古書堂に迫る影。太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男。彼はある一冊の古書を残していく――。奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。青年店員と美しき女店主は、彼女の祖父によって張り巡らされていた巧妙な罠へと嵌っていくのだった……。人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の縁。その物語に幕引きのときがおとずれる。

 

 

 

 いよいよシリーズ完結編。これまで栞子の母がとった数々の不審行動の謎が明かされ、栞子と大輔が周りからも認められるかたちで結ばれる運びとなりめでたしめでたしとなりました。思い起こせば6年前、シリーズ第一巻『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』を読んだ時から私は栞子に恋をしていた。若くてきれいな古本屋の店主。古書に関する知識がずば抜けているだけでなく、自身も折り紙付きの読書家であり、閑さえあれば本を読んでいる。極端な人見知りで、初対面の人間とは口もきけない程だが、それが本のこととなるとうって変わって強い女性に変身するというのだから本好きの男なら一目惚れである。早く結末を知りたい気持ちと、いつまでも続いて欲しい気持ちがせめぎ合い、完結編を読む悦びにうち震えながらも、読み終えてしまう喪失感におびえるというわけの解らない心もちであった。しかし作者のあとがきによると、これからも番外編やスピンオフのかたちで『ビブリア』は続くとのこと。番外編とスピンオフはどう違うのだ、そんなケジメのないことでいいのかっと作者に鋭いツッコミを入れながらも思わずニンマリしてしまったのであった。チャンチャン!