ウェルズの日記

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『太陽の棘』(原田マハ・著/文春文庫)

『太陽の棘』(原田マハ・著/文春文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語!

終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。
警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。
だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。
実話をもとにした感動作!

原田マハ氏は、小説家の優れた才能と人間的な温かさにより、どんなに善意の人間であっても、理解できない事柄があることを明らかにした。私は日本人が書いた沖縄をテーマとする小説で『太陽の棘』がいちばん好きだ。」
――佐藤優(解説より)

 

太陽の棘 (文春文庫)

太陽の棘 (文春文庫)

 

 

 物語の結末が見えないまま、なんとなく哀しい結末を予感させる流れに、それでもなんとか救いをと願いながら読んだ。軍医・エドワードとニシムイ村に住むタイラ夫妻との友情、絵を通じた温かい交流が限りなく美しい。この世界は悲しみと不条理に満ちている。邪な野郎はどこにでもいる。それは沖縄に駐留するアメリカ兵にかぎったことではない。日本人にだってどうしようもないヤツはいるだろう。そうした者に出会ったとき、人間のどうしようもない醜さに暗澹たる気分になる。しかしそうしたときも、正道を護り不義をなさない人物の存在が、世の中捨てたもんじゃないと思わせてくれる。

 少し泣いてしまいました。