『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦・著/朝日文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
社会人2年目の小和田君は仕事が終われば独身寮での夜更かしを楽しみとする地味な生活。ある日、狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」との出会いから、めくるめく冒険の一日が幕を開ける。第2回京都本大賞受賞作!
クセのある文体、愛すべき冗長、ばかばかしいほどの知性、一部の人にのみ通用するユーモア、登美彦氏は健在である。
しかしやっかいだ。何がやっかいかというと、この小説を120%楽しむためには『有頂天家族』と『宵山万華鏡』をもう一度読み直さねばならない。その上、新聞連載、単行本、加えてフジモトマサル氏の挿絵集を読まねばならない。単行本と挿絵集は発注した。新聞連載は図書館通いをしなければならないだろう。さらに文庫版の初回に付いていたという四種類のメッセージカードを手に入れればさらに満足度は増すだろう。どうしてくれよう。
ちなみにメッセージカードは登美彦氏の直筆を印刷したもので、次のようなものらしい。
「転がらない石には苔がつく。やはらかくなろう」
「僕は人間である前に怠け者です」
「役に立とうなんて思い上がりです」
「人生いたるところに夏休みあり」
手に入れる方法はあるのだろうか。