佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2017年6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1954
ナイス数:918

 6月は株主総会開催月なので、なかなか読書する余裕がない。通勤などの移動時間だけの読書となった。しかし、森見登美彦氏の『聖なる怠け者の冒険』とその関連本、司馬遼太郎白洲正子など旅ものを読めたのは大満足でした。

十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)感想
湖北が好きである。しっとりとした落ち着きを感じさせる土地。寂しけれどけっして寒いのでも暗いのでもない、私は湖北にある種の豊かさを感じ、そこに少しでも長くいたい心持ちになる。私は白洲さんの語る湖北の情景に魅せられた一人である。美しい文章の流れ、感情を抑えた筆致がかえって白洲さんが近江の地に寄せる深い思いを感じさせる。私も渡岸寺の美しい十一面観音像に会いに湖北を旅しよう。もちろんこの本を携えて。
読了日:06月30日 著者:白洲 正子


京ものがたり 名優・文人35人が愛した京都思い出の地 (朝日文庫)京ものがたり 名優・文人35人が愛した京都思い出の地 (朝日文庫)感想
朝日新聞は政治が絡むと常軌を逸する嫌いがあるが、こういうものを書かせるとなかなかやる。良い。かなり良い。いや、すごく良い。新聞社が積み重ねてきたものの厚みを感じさせる本でした。スマート珈琲店、京ぎをん浜作、東山八百伊、京の宿・石原、舌切茶屋、南禅寺水路閣漱石の句碑、平野屋、蛸長、いもぼう平野屋本家、笑福亭、海住山寺、白沙村荘、河井寛次郎記念館、三月書房、百万遍知恩寺古本市、山ばな平八茶屋、養源院をチェック。 
読了日:06月20日 著者:朝日新聞社


哲学するレストラトゥール: 自給自足の有機農業で実践する「贈与への責務と返礼」哲学するレストラトゥール: 自給自足の有機農業で実践する「贈与への責務と返礼」感想
若い世代は産業としての農業に興味を持っているのではなく、おそらく農業の持っている本来の「生産する喜び」に気付いているのだ。農業において「生産」とは「自然からの贈与」を意味する。そのような「自然からの贈与」に対して、農家は「無償の労働」で返礼する。つまり「農業」とは、贈与され贈与するというかたちの「連続性」、あるいは「循環性」なのだ。農業とは成長、拡大をめざす一般の産業ではなく、成長はせずとも安定して永続し、自然界と調和した循環の中にその本質があり、その循環の中に食も人々の暮らしもある。こういうことかな。
読了日:06月15日 著者:橘 真


THE百年宿 (双葉社スーパームック)THE百年宿 (双葉社スーパームック)感想
創業100余年を数える歴史的な宿を厳選して紹介してくれる。文化財に指定される木造建築、代々守られてきた源泉、土地の食材を使った心づくしの料理、時代時代の客の心をとらえてきたおもてなしの心・・・。百年の重みを感じる時間旅行を楽しませていただきました。  私の心をとらえたのは長野県下高井郡山ノ内町「金具屋」、熊本県八代市「金波楼」、新潟県阿賀野市「環翠楼」。写真で見る限りだが、建物の圧倒的な存在感とノスタルジー。行ってみるしかあるまい。
読了日:06月11日 著者:


聖なる怠け者の冒険 挿絵集聖なる怠け者の冒険 挿絵集感想
あたかも新聞紙で作ったかのようなカバー、表紙にはぽんぽこ仮面の絵、装丁の素晴らしさに一目惚れです。装丁は名久井直子氏。カバーは新聞紙であるから記事の断片が載っている。広告も載っている。連載小説はなんと『聖なる怠け者の冒険』の第1回が載っているという凝りよう。記事には蕎麦処六角で開催される「無限蕎麦」を告知、広告にはテングブランと浦本探偵事務所が載っている。「小問題こそ大問題。小問題を嗤う者は小問題に泣く」というフレーズが微笑を誘う。頁を捲るうちにいつしか時間を忘れ最後まで一気に読んでしまった。
読了日:06月10日 著者:フジモトマサル


街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか (朝日文庫)街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか (朝日文庫)感想
「湖西のみち」の書き出しを読むだけで私にも詩がはじまった。湖西のみち、竹内街道甲州街道、葛城みち、長州路、それぞれが私を誘っているかのようだ。GoogleMapで路を確認し、訪れるべき所に☆印をつけながら読んだ。まずは長州路、画家の風間完氏が菓子を食べ、天井や欄間、軒先を見ながらながら「ちょうどいい」と言った宿『松田屋ホテル』へ泊まってみるか。西郷・木戸・大久保が密議を重ねたという東屋がある庭を散策し、風呂につかりながら維新の時代に思いを致すのも楽しいだろう。 
読了日:06月07日 著者:司馬 遼太郎


聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫)聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫)感想
クセのある文体、愛すべき冗長、ばかばかしいほどの知性、一部の人にのみ通用するユーモア、登美彦氏は健在である。しかしやっかいだ。何がやっかいかというとこの小説を120%楽しむためには『有頂天家族』と『宵山万華鏡』をもう一度読み直さねばならない。その上、新聞連載、単行本、加えてフジモトマサル氏の挿絵集を読まねばならない。単行本と挿絵集は発注した。新聞連載は図書館通いをしなければならないだろう。さらに文庫版の初回に付いていたという四種類のメッセージカードを手に入れればさらに満足度は増すだろう。どうしてくれよう。
読了日:06月04日 著者:森見登美彦


星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)感想
不倫、中絶、シングルマザー、そして戦争、重苦しい題材を扱いながら最後には心がほっこり温かくなる7篇。うまく料理したなぁ。流石です。「沈下橋」がイイ! 
読了日:06月01日 著者:原田 マハ

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