佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『yom yom vol.45(2017年8月号)』 Kindle版

yom yom vol.45(2017年8月号)』 Kindle版 を読みました。

 私もついに電子書籍デビューです。文庫本をジーンズのポケットに入れて、あるいは鞄につめてというスタイルが好きで、ずっと紙媒体、特に文庫本にこだわってきました。しかし世の中変わっております。電子書籍でしか読めないものも出てきたようです。『yom yom』もvol.44から電子書籍化された由。しかもvol.45から柏井壽さんの新連載が始まるとのこと。これはもうスタイルにこだわっている場合ではない。加えて今日から10日ばかりは海外を含め、ほとんど旅の空状態である。このようなときはkindle電子書籍リーダーひとつ持ち歩けば、何冊でも読めるのだ。文庫本とはいっても5冊も持ち歩けば相当にかさばるし重いのだ。椎名誠さんのように何冊も本を持って旅に出て、読んだ傍から本を捨てればいいようなものだがそれもできない。私は本を捨てることが出来ない人間なのだ。

 と、まあこのようないきさつで電子書籍を読むことになったのだが、まず最初に読んだのが本書である。

 出版社の紹介文と目次を引きます。

 

yom yomヨムヨム)のたった一つの願いは、忘れられない言葉に出会うこと。小説、コミック、詩、エッセイ……ジャンルの垣根にとらわれず、新人作家とベテラン作家の垣根を問わず、探しているのは胸を揺さぶる物語との出会いです。あらゆるエンターテインメントを自由に楽しむ文芸総合誌を、毎奇数月の第三金曜に電子だけで配信。vol.45(2017年8月号)はふみふみこさんの漫画「愛と呪い」ほか新連載3作!

目次

暗闇くん/最果タヒ
愛と呪い/ふみふみこ [新連載]
猫河原家の人びと/青柳碧人 [新連載]
祇園白川 レシピ買います 小堀商店/柏井 壽 [新連載]
“絶滅危惧職”講談師を生きる!/神田松之丞 [最終回]
春待ち雑貨店ぷらんたん/岡崎琢磨 [最終回]
夏の祈りは/須賀しのぶ [最終回]
マリー・アントワネットの日記/吉川トリコ [最終回]
わたし、定時で帰ります。/朱野帰子 [最終回]
夜と会う。Ⅱ/蒼月海里 [最終回]
もってけ屋敷の本の怪人/三川みり [最終回]
暗闇くん 別邸/最果タヒ [第2回]
犬も食わない/千早 茜×尾崎世界観 [第3回]
月の沙漠を 同潤会代官山アパートクロニクル/三上 延 [第3回]
三人組にうってつけの迷宮 かがやき荘アラサー探偵局2/東川篤哉 [第2回]
死にゆく者の祈り/中山七里 [第2回]
機巧のイヴ2 Mundus Novus/乾 緑郎 [第2回]
人工知能AI(アイ)のリアル・ディープラーニング/早坂 吝 [第2回]
マリコ、うまくいくよ/益田ミリ [第13回]
川越三姉妹の失恋/成田名璃子 [第3回]
忘霊トランクルーム/吉野万理子 [第3回]
Aクライ・プリンセス/梶尾真治 [第5回]
ワン・モア・ヌーク/藤井太洋 [第6回]
モテる技術(仮)/カレー沢 薫 [第2回]
読みたい人、書きたい人のための、ミステリ超入門/新井久幸 [第2回]
執筆者紹介
編集後記

 

yom yom vol.45(2017年8月号)[雑誌]

yom yom vol.45(2017年8月号)[雑誌]

 

 

 今号からの新連載3篇と新井久幸さんのミステリに関するコラムを読みました。他については、まず「暗闇くん」(最果タヒ)はkindle書籍リーダーでは暗くて読めない。その他の連載は途中からになるのでパス。書籍化されたときに読みたいものがあれば読もうと思います。

 新連載3篇についてひと言ずつコメントします。

 

【愛と呪い/ふみふみこ

 読んでいて辛すぎる。連載2回以降は読まない。いや、読めないな。たぶん。

 

【猫河原家の人びと/青柳碧人

 こちらは「愛と呪い」とは真逆に軽妙。ばかばかしいほどに軽妙である。いったい何処の世界に家族全員がうちそろって捜査会議を開くような家庭があるだろうか。しかし、これがなかなかイイ。文章からミステリ愛が隠しようもなく滲み出ている。「理屈をこねるのが探偵の存在価値であり、アイデンティティーである」とはけだし名言。

 

祇園白川 レシピ買います 小堀商店/柏井 壽】

 かつて、京都一といわれる老舗料亭の料理長であった玉村が料理界から忽然と姿を消した謎、その玉村が一度だけ作って封印したという「鱧の源平焼」のレシピの謎、二つの謎で読者をグイグイ物語に引き込む。なんといっても物語に出てくる料理の数々の美味しそうなこと。美味しそうな料理が出てくるミステリはと問われたら、私は近藤史恵さんの「ビストロ パ・マル」シリーズと北森鴻さんの「香菜里屋」シリーズをあげるが、柏井壽さんの「小堀商店」シリーズがその仲間入りをしそうな予感がする。第二話ははたしてどんな話になるのだろう。楽しみである。