佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2017年8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4194
ナイス数:1438

 8月は柏井壽さんの旅ガイド・エッセイを3冊、浅田次郎さん、玉岡かおるさん、宇江佐真理さんの時代ものを合わせて5冊など、好物を存分に楽しんだ。また、カレー本やら電子書籍やらと新しい世界も開けてきた。ふり返ると幸せ感につつまれ充実した読書であった。

昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)感想
松前藩に奉公する茜がいったいどうなるのか気をもんでいたのだが、嫡子・良昌の死であっけなく気がかりが消えた。出版社の紹介文には”松前藩主の嫡子・良昌からの再三の申し出に、側室になることを決意した”とあるが、そのいい方は正確ではない。茜の心はもっと複雑である。茜の性格からして決意したのならもっと潔い態度をとったはず。誰が書いたか知らないが、出版社がこの程度の読み込みでは心許ない。物語はいよいよ佳境に入ったが、今後は伊与太が絵師として大成するのか、そして伊与太と茜との関係は発展するのか、そのあたりが焦点となる。
読了日:08月31日 著者:宇江佐 真理


名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)感想
髪結い伊三次シリーズも12巻目。タイ旅行の移動中の読み物としてチョイス。異国にあって読む時代ものもなかなかの味わい。さて今巻では絵師として修行中の伊与太と松前藩に奉公にあがっている茜、二人の若者を中心に描いている。読んでいて力が入るのはなんといっても茜。母・いなみと娘・茜は本シリーズの登場人物の中でも出色。私の好みのど真ん中を直球で攻めてきます。私としてはバットを振るのも忘れその潔い球を感嘆しつつ見送るといった心持ちです。次巻『昨日のまこと、今日のうそ』では若い二人の物語もいよいよ佳境に入ると思われる。
読了日:08月30日 著者:宇江佐 真理


yom yom vol.45(2017年8月号)[雑誌]yom yom vol.45(2017年8月号)[雑誌]感想
私もついに電子書籍デビューです。文庫本をジーンズのポケットに入れて、あるいは鞄につめてというスタイルが好きで、ずっと紙媒体、特に文庫本にこだわってきました。しかし世の中変わっております。電子書籍でしか読めないものも出てきたようです。『yom yom』もvol.44から電子書籍化された由。しかもvol.45から柏井壽さんの新連載が始まるとのこと。これはもうスタイルにこだわっている場合ではない。加えて今日から10日ばかりは海外を含め、ほとんど旅の空状態である。リーダー一つ持ち歩けば何冊でも読めるのだ。
読了日:08月29日 著者:最果タヒ,ふみふみこ,青柳碧人,柏井壽,神田松之丞,岡崎琢磨,須賀しのぶ,吉川トリコ,朱野帰子,蒼月海里,三川みり,千早茜,尾崎世界観,三上延,東川篤哉,中山七里,乾緑郎,早坂吝,益田ミリ,成田名璃子,吉野万理子,梶尾真治,藤井太洋,カレー沢薫,杉江松恋,新井久幸


京都しあわせ食堂 (京都しあわせ倶楽部)京都しあわせ食堂 (京都しあわせ倶楽部)感想
京都と言えば伝統的な和食をイメージしがちであるが、喫茶店のランチ、ウンチク無用の気どらない洋食を食べるのも良い。もっとも私が一番そそられるのはやはり「京都人普段使いの食堂」なのだが。店の雰囲気は店主と常連のお客さんとの日々の積み重ねの中で作り上げたもの。その正体を”よそさん”が見極めに行くのは結構刺激的な体験に違いない。おそらくそこにあるのは京都人の日常。しかし”よそさん”にとってはその日常にこそが価値がある。ただし、ちょいと観であるからには”よそさん”としての分をわきまえたい。(笑)
読了日:08月27日 著者:柏井 壽


旅屋おかえり (集英社文庫)旅屋おかえり (集英社文庫)感想
”「おかえり」こと丘えりか。彼女が私たちを極上の旅へ連れて行ってくれる。” 帯に書かれたこんな言葉を見た瞬間、読まずにいられなくなった。思わず涙がこぼれる人情話。済済と、気持ちの良い涙が頬を伝いました。この秋の旅先は雲の上の町・檮原町かな。来春には角館の垂れ桜も観たいな。原田さんご自身も一年のうち半分は旅の空に身を置いていらっしゃる由、読んでいてすぐにも旅に出たくなる、そんな小説でした。
読了日:08月26日 著者:原田 マハ


虹、つどうべし 別所一族ご無念御留 (幻冬舎時代小説文庫)虹、つどうべし 別所一族ご無念御留 (幻冬舎時代小説文庫)感想
武士(もののふ)の生きざまは死にざまに現れる。切支丹の女間者・希久の目を通して、滅びゆく別所一族を深く愛惜しつつ描いている。戦国という変革の怒濤の中で、別所氏は覇者となるべき者を見誤った。その代償は「死」。己が死ぬだけではない。自分の判断が配下の者、ひいてはその家族もろともの生死を決するのだ。名門の出にこだわり最後まで新興の秀吉に負けたことを認めることが出来なかった別所吉親、家臣とその家族を思い自らの首と引き換えに周りの者の安泰を秀吉に願い出た別所長治。リーダーはどうあるべきかを考えさせられた一冊でした。
読了日:08月23日 著者:玉岡 かおる


世界一やさしいスパイスカレー教室 -スパイスカレーのしくみがよくわかる-世界一やさしいスパイスカレー教室 -スパイスカレーのしくみがよくわかる-感想
どうすればスパイスカレーができるかを簡単に教えてくれる。レシピも充実している。写真も魅惑的で創作意欲をそそる。カレーに合うライスやナンの作り方、付け合わせのレシピまであり、この一冊でそれなりにスパイスカレーが出来てしまう。すごいぞ東京カリー番長!偉いぞ水野仁輔! 今、私の血は種々の香辛料で熱くたぎっている。しかしこれもしばらく扇風機にあたると汗の乾きとともにすぅっと収まるものだ。私の性格もまた”熱しやすく冷めやすい”。それは五十数年間生きてきた中ですでに証明された性分だ。しばらくはスパイスで遊ぼうと思う。
読了日:08月17日 著者:東京カリ~番長


ブランド力 ~今、企業や自治体に求められる大切な価値ブランド力 ~今、企業や自治体に求められる大切な価値感想
以下のことに特に留意したい。「その企業にしか出来ないこだわり、その企業が何を大切にするか、それらがその企業の文化。その文化に顧客が共感を覚えたときブランドが構築される。企業文化をわかりやすく明確化し社員に浸透させることがインナーブランディング。企業の想いを共有した社員の行動がお客様の「経験」をつくり、それがお客様の心の中に「ブランド」を生み出す。企業のエッセンスは社員の行動に表れる。「私たちでないと出来ない仕事が提供できているかどうか」を問い続けることがブランドにつながる」
読了日:08月14日 著者:関野 吉記


清冽  - 詩人茨木のり子の肖像 (中公文庫)清冽 - 詩人茨木のり子の肖像 (中公文庫)感想
「ーY.Yに-」に書かれたように”墜ちてゆく”ことを自らに決して許すことなく、凜として立ち、清冽に生きようとした茨木さんを知ることとなった。そして茨木さんの品性に強く惹かれた。「自分の感受性くらい」「倚りかからず」を折にふれて読み返していこう。そんな気分である。ただ「四海波静」だけはいただけない。茨木さんが偏狭なイデオロギーをお持ちだったとは思わないが、怒りにまかせて「文学研究果さねばあばばばばとも言えない」などと表現なさったのは残念なこと。茨木さんならば、もっといろいろな事情に思いを致せただろうに。
読了日:08月12日 著者:後藤 正治


日本ゴクラク湯八十八宿 (だいわ文庫)日本ゴクラク湯八十八宿 (だいわ文庫)感想
 美ヶ原温泉「旅館すぎもと」に泊まったとき置いてあったのを購入。年に二百五十泊以上どこかの宿に泊まっていらっしゃる柏井氏が選ばれた八十八の宿となれば要チェックである。いや要チェックなどという生やさしいものではない。私の職業からして必須である。私の趣味(旅と自転車)からして至要たる行為である。加えてここ一か月あまりで二度お目にかかる機会を得た者としての厚誼の証ともいえる。  私のGoogle Mapには本書で紹介された宿が八十七の☆となっている。なぜ八十八ではないのか。答えは「飛鳥Ⅱ」にある。
読了日:08月06日 著者:柏井壽(ひさし)


黒書院の六兵衛 下 (文春文庫)黒書院の六兵衛 下 (文春文庫)感想
官軍のにわか先見隊長を命ぜられ加倉井隼人が江戸城に送り込まれてから、大村益次郎木戸孝允らが江戸城に入城するあたりまで、この物語は冗長である。そう思っていた。しかしどうだ。下巻の半ばを過ぎてからの展開に心が震えた。図らずも嗚咽がこみあげてきた。冗長と思われた前フリはこのためにあったのだと気付く。浅田氏の筆によって吐露された登場人物の胸懐は、読み手の心に灯をともし、心はやがて激しく高ぶる。撓めに撓めた弓矢が一気に放たれるが如く、我が内なる魂が奔流となって昇華していくとき、一筋の涙が零れ落ちた。
読了日:08月05日 著者:浅田 次郎


黒書院の六兵衛 上 (文春文庫)黒書院の六兵衛 上 (文春文庫)感想
感想は下巻で
読了日:08月05日 著者:浅田 次郎


京都の値段京都の値段感想
見て歩く、食べる、遊ぶ、買う、京都の「ええもん」をハリー中西氏の写真と柏井壽氏の文で紹介。頁を捲るごとに京都の魅力が目に飛び込んでくる。柏井氏の文を読むにつけ、ほんものの良さが伝わってくる。  やはり柏井氏の御著書はものを選ぶ目の確かさ、読みやすい文章が魅力。まちがいありません。紹介されたのは「染井の名水」(0円)から「要庵・西富家の夜泊まり」(27,000円)まで62アイテム。私のお勧めは「開化堂の茶筒」(6,000円)。我が家にもあります。これこそ日本、これこそ京都といえる逸品です。
読了日:08月04日 著者:柏井 壽

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