佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「あさば」に泊まりました

2018/03/09 「あさば」初体験でした。

これが衝撃の初体験。想像をはるかに超えておりました。

奇をてらったものは何もありません。

むしろ余計なものを削ぎ落としたホンモノ。

しかも、そこにはさりげなくも奥深いもてなしの心がありました。

到着後、池の畔のサロンでいただく桜もちと抹茶。

部屋に通される。部屋も内風呂もすばらしい。

まずは露天風呂で温まる。

お風呂備え付けのタオルはふかふかで分厚い。

風呂上がりには部屋から新内流しを観覧する。

 

新内流し観覧の後は夕食。想像していたのは豪華な食材や目を引く演出であった。しかしそうではなかった。供された一品一品が素材シンプルで余計なものがない。最高の素材を使い、その良さを損なわない配慮がされている。しかし、そこはかとなくきちんとした仕事がしてある。このあたりがこの宿の品格と自信を感じさせるところだ。

柏井壽先生との会食。お箸が湿らせてあることについて教えていただいた場面。勉強になります。

寒竹の子菜のり揚げ

食べ終わった皿は加藤静允氏のものであるようだ。といっても知っていたわけでは無く、柏井先生に教えていただいたのだが。

乾杯酒、地元の酒「萬燿」を飲んだ杯。よい杯ですなぁ。

宿のご主人からのシャンパン ”CODE NOIR"。

私は日本酒党ですので価値はよく分かりません。

繊細にして味わい深く、しかも高貴な味わいと表現させていただきましょう。

湯葉蒸し。

弥生盛肴。猪のスモーク、(ベーコンのような風味)、本エビ、和えもの(寒竹の子や自生クレソンが入っていた気がするが記憶が曖昧)

沢煮椀。豚の背脂と野菜の千切りをだし汁で煮た椀もの。昔、料亭でよく出されたらしい。私は初めていただきました。美味しい。勉強になりました。

飲みものを酒にしました。 萬燿(ばんよう)という伊豆の地酒。料理が引き立つ酒。

備前の徳利はひょっとして金重陶陽だろうか。もしそうだとしたら壊したら大変だとちょっと緊張する。

造りはヤリイカと鯛。青い葉と赤い茎はハマボウフウ

焼きものは鰆。身の分厚さを見よ!

大徳寺麩と防風の酢びたし。ハマボウフウの香りが鮮烈な一品。

大中寺芋と雲子の衣揚げ。揚げたてが供されるので雲子をパクリとやる。サクッとした衣の中の濃厚な白子がたまりません。大中寺芋は大ぶりの里芋といった風味。しかし粘りはあまり感じず、きめ細かな芋。素朴で野趣あふれるかたちで供されるあたりに料理人の姿勢を感じる。余計なことはしない。最高の素材をていねいに最高の状態で出す。ごまかしのない逸品です。塩がまたうまいんですなぁ。

酒を喜久酔に変える。この徳利の特徴ある青、これも加藤清允氏のものだろうか。

穴子黒米ずし。あさばの名物だそうです。

天城軍鶏たたき鍋。これも白葱と軍鶏のつくねをシンプルに鍋仕立てでいただく。シンプルなだけに滋味豊かな味わいが引き立つ逸品。

つくねと白葱を引き上げたスープを卵でとじてご飯に載せた〆は絶品です。

デザートは二品。

一品目はブラマンジェかくずきりか、あと何だったか3種類か4種類から選んでくださいといわれた。ブラマンジェが滅法うまいと聞き、それにする。確かに滅法うまかった。

もう一品は桜と生姜のジェラート。手前が桜です。色でわかりますね。もういちいちうまいというのも疲れましたが、うまいんですこれが。

じっくり時間をかけ、美味しいものを一品一品いただき、器も楽しんだすばらしい一夜でした。この後の眠りも深くすばらしいものでした。この布団を見てください。ぐっすり眠れたのはいうまでもありません。

ぐっすり眠った翌朝、心地よい目覚めの後、朝風呂でスッキリした私を待っていたのは極上の朝食。

自生のクレソンと釜揚げしらす。釜揚げしらすは温かくしてありました。

椎茸と大根とひろうす。

菜のり。

だし巻き卵とシジミの味噌汁。

漬物。

メヒカリの干物。

紅ほっぺ

汁粉。

コーヒー。器が素敵です。

以上、旅館に止まるだけで無く、心地よい空間があり、もてなしの心があり、そこで過ごすことを楽しめる宿、そして何よりも食事が美味しい極上の宿でした。まいりました。