佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『バスを待って』(石田千・著/小学館文庫)

『バスを待って』(石田千・著/小学館文庫)を読みました。

 

バスを待って (小学館文庫)

バスを待って (小学館文庫)

 

 

まずは出版社の紹介文を引きます。

町の景色と人情が心に沁みる石田千連作小説
<いちばんまえの席があいた。となりのおじいさんは、いそいで移動して椅子によじのぼった。男のひとは、いつまでもあの席が好きでおかしい。> 夫をなくしたばかりのお年寄り、自分の進路に迷う高校生、上司とそりが合わず落ち込むサラリーマン、合コンに馴染めないOL……、季節、場所、人は違えど、バスにゆられて「明日もがんばるか」と元気を回復する二十篇。
第一回古本小説大賞、2011年、12年芥川賞候補の石田千氏の最新小説。「お洒落なイタリアンより酒肴の旨い居酒屋が好き」「流行のファッションより古着やナチュラル系の服が好き」という女性を中心に人気を博している小説家・エッセイストの、人情に溢れ、ほろっときたり、ほほ笑んだりしながら読める物語。

 

 路線バスの乗客をめぐる20篇の物語を一冊にまとめたオムニバス。(オムニバスはそもそも omnibus =乗合自動車の意)ダジャレみたいになってしまいました。

 路線バスにはいろいろな人が乗り合わせる。その一人一人に人生がある。それぞれは見ず知らずで悩み、恋、不幸、病気、幸せ、希望など、それぞれの人生を歩んでいる。ありふれた日常の中にある心温まる刹那。それは決して特別ではないけれど、人が自分の心の柔らかい部分にそっと仕舞っている優しさを揺り起こす、そんな瞬間がある。

 幸せを予感させる物語が多い。「キチンと生きていればいつかきっと良いことがあるよ」登場人物にそう語りかけたい気になる。心温まる短編集でした。

 

 

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