佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『まるまるの毬』(西條奈加・著/講談社文庫)

『まるまるの毬』(西條奈加・著/講談社文庫)を読みました。

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 まずは出版社の紹介文を引きます。

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨て、職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永と一粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

 

まるまるの毬 (講談社文庫)

まるまるの毬 (講談社文庫)

 

 

「まるまるのまり」なんのこちっちゃ? と本を手に取ると「いが」とルビが振ってある。「まるまるのいが」の意味も分からなかったが、時代物の人情小説、しかもおいしい食べ物にまつわる小説となれば読みたくなる。きっと私の大好物だとの直感は当たっていた。高田郁さんの『みをつくし料理帖』のファンならきっと好きなテイストだろう。あるいは家族の温かい思いやりが好みならば小路幸也氏の『東京バンドワゴン』か。どちらもシリーズものになっているので、『まるまるの毬』もぜひシリーズ化してほしいものである。

 私が気に入ったのは「愛情」が物語の主題となっているが、それがいわゆる「恋愛至上主義」になっていないところ。結末のほろ苦さに「西條さん、なかなか分かっていらっしゃる」と心の中で拍手!(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ