佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『情熱のナポリタン BAR追分』(伊吹有喜・著/ハルキ文庫)

『情熱のナポリタン BAR追分』(伊吹有喜・著/ハルキ文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

かつて新宿追分と呼ばれた街の、“ねこみち横丁”という路地の奥に「BAR追分」はある。“ねこみち横丁”振興会の管理人をしながら脚本家を目指す宇藤輝良は、コンクールに応募するためのシナリオを書き上げたものの、悩んでいることがあって…。両親の離婚で離れて暮らす兄弟、一人息子を育てるシングルマザー、劇団仲間に才能の差を感じ始めた男―人生の分岐点に立った人々が集う「BAR追分」。客たちの心も胃袋もぐっと掴んで離さない癒しの酒場に、あなたも立ち寄ってみませんか? 大人気シリーズ第三弾。

 

情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)

情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)

 

 

 ますますおいしい小説になってきた。シリーズが1,2,3と進んで行くに従って登場人物に厚みと深みが出てきて、どんどんその人が好きになっている。一話一話を楽しみながら、シリーズを通して主人公・宇藤輝良はシナリオライターとして成功するのか、二つ三つの恋愛の種は芽を出し育っていくのだろうかといったところに興味をもつ。そうした筋を伊吹さんはどう書いていくのか気になるところである。一話一話の短編で読者を飽きさせず、シリーズを通した筋で読者を引きつけて放さない。出てくる料理、菓子、飲み物のおいしそうなこと。思わず「あぁ、BAR追分に行きたい」と胸を焦がすほどだ。人気シリーズになる要素は整っている。伊吹さんはシリーズ第5弾ぐらいまでは構想して書いていらっしゃるのかな。続編が待ち遠しい。