佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『時をかける少女』(筒井康隆・著/角川文庫)

時をかける少女』(筒井康隆・著/角川文庫)を読みました。先日アニメーション映画版をTVで観て懐かしくなり再読したものです。

 

時をかける少女
 

 

 いつ頃読んだものか。本棚にあるのは昭和54年10月30日、第11版発行のものだ。おそらく大学生の頃に読んだものに違いない。カバーの画がなんともすごい。藤本蒼(ふじもとあおい)氏によるもの。調べてみると藤本蒼は本名だそうで、昭和61年に今の不二本蒼生という画号を名乗っていらっしゃるイラストレーターのようです。独特の世界観に目が惹きつけられるのですが、小説に登場する主人公(女子高生、名は芳山和子)のイメージとは全く異なる。他にも二冊ばかり筒井康隆氏の本のカバーを手がけていらっしゃるようで、小説イメージに合わせたというより、当時の編集者が藤本氏の画を使いたかったということなのだろう。

 出版社の紹介文を引きます。

 物置同然になった無人のはずの理科実験室に誰かいる! ガチャーンとガラスの割れる音が響いた。和子がうす暗い部屋の中を見回わすと、試験管が床に落ちて割れていた。中から液体がこぼれ白い湯気のような甘い匂いが漂い、急に和子の嗅覚を襲った。彼女はそのまま、軽い貧血を起こして気を失った。

 だが、意識が回復すると、不思議な事件がたて続けに起こった。どうも、あの匂いをかいだことがきっかけで、彼女に特殊能力がそなわったらしい。

 少女が不思議な空想の世界を体験する会心の表題作、ほか2篇収録。 

 

 

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

 

 

 読んでいて、1970年代の高校生と2010年代の高校生の持つ感覚の違いに愕然とする。考えてみれば当時高校生だった私もずいぶんうぶであった。とはいえ思春期の若者の一途な思いは今も昔も変わらないに違いない。懐かしい感覚がよみがえった楽しい読書時間でした。