佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2018年10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2205
ナイス数:874

 

 10月の読書は6冊と量的には少なめだったが、居酒屋めぐりもの、タイムトラベル・ロマンス、おいしい小説、辛口エッセイ、古書もの、心温まるお仕事小説と私の好物の連続であった。本を読んでいるときが一番幸せです。


金沢名酒場100 (ぴあMOOK中部)金沢名酒場100 (ぴあMOOK中部)感想
100店もとりあげて名酒場といっていいのか?との疑問が頭をもたげるが、読んでみるとなるほど店それぞれに魅力があふれている。金沢は酒と食のワンダーランドだ。特別企画「太田和彦が語る粋な酒場の歩き方」に「いい店に出会うには、古く長く続いている家族経営の店を探すことに尽きるね。長く続いているということは、アコギな商売をせず、良心的な経営を続けているということ」と喝破している。慧眼なり。いの一番に紹介されている店が「大関」だというのも正しい視点だと思える。金沢は何度でも訪れたい町のひとつ。でも100店は無理だな。
読了日:10月02日 著者: 


蒲生邸事件 (文春文庫)蒲生邸事件 (文春文庫)感想
主人公・孝史が2.26事件があった昭和11年に暮らすことによって、いつの間にか成長する。宮部さんは今の世間一般の大方の態度が「戦前」を非進歩的な忌むべき過去として切って捨てがちであるのに対し、その過去をきちんと評価なさっていると見える。それは”ふき”さんに、60年後の平和な日本にタイムトリップするチャンスを一顧だにせず、おそらく人が生きる上で最悪の時代であろう昭和初期にそのまま生きることを選ばせたことに現れていると思える。宮部さんはそんな孝史とふきに素敵な結末を用意した。それをここで語るわけにはいかない。
読了日:10月11日 著者:宮部 みゆき


祇園白川 小堀商店 レシピ買います (新潮文庫)祇園白川 小堀商店 レシピ買います (新潮文庫)感想
美食を極めるために世の優れたレシピを買い集めるという話。料理人にとって、長年の修行と試行錯誤のうえで他にマネのできないところまで昇華させた料理のレシピはまさに人生そのものといえる。そのレシピを売ろうとするにはやむにやまれぬ事情があり、ドラマがあるのだ。我々はそのドラマに胸を熱くするのである。本書の魅力は物語としての面白さもさることながら、場面場面に登場する様々なおいしい食べもの。おそらく柏井氏が食べ歩かれた実体験をベースに書かれており真に迫っている。私が特に好きなのは第五話「オムライス」でした。
読了日:10月14日 著者:柏井 壽


茶の間の正義 (中公文庫)茶の間の正義 (中公文庫)感想
「茶の間の正義」とはテレビなどジャーナリズムの人におもねった胡散臭い正義を言う。かつてジャーナリズムが説いた「正義」をお人好しにも信じた報いが今の世に問題として噴出しているのではないか。いや、大衆がジャーナリズムの言うことを信じたのではない。ジャーナリズムが大衆におもねって、大衆に受けが良いかたちの「正義」を説いたのだ。ジャーナリズムは商売で「正義」を説いているのであって、ニセモノの「正義」であろうがなんだろうが大衆が喜んで買ってくれてはそれで良いのだ。我々はそのことを肝に銘じなければならない。
読了日:10月23日 著者:山本 夏彦


ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)感想
やはり出ました。番外編というか、あるいはスピンオフというか、そうしたものが出ました。そういうケジメの無いことをするのだろうなと思っておりました。作者もシリーズ第七巻(完結編)を出したときにそう言っていたのですから当然です。ケジメなどいりません。どんどん書いていただきたい。番外編やスピンオフなどという一過性の言い方をやめて、正々堂々と続編と言っていただきたい。古書で『雪の断章』(佐々木丸美)と『王様の背中』(内田百閒)を買ってしまった。本好きにとってこのシリーズは甘党にケーキのような存在です。
読了日:10月27日 著者:三上 延


店長がいっぱい (光文社文庫)店長がいっぱい (光文社文庫)感想
山本幸久氏のお仕事小説は安定のおもしろさです。『ある日、アヒルバス』『カイシャデイズ』『笑う招き猫』等々、山本氏の小説を読むのはかれこれ九冊目になる。これまで一冊も外れ無し。どうやら私は山本氏の描く(特にお仕事がらみ)小説の世界が大好物なようである。登場人物に注ぐ山本氏の温かいまなざしは心をほっこりと温めてくれ、ささくれだった心を溶きほぐしてくれる。  私にとって山本幸久精神安定剤です。
読了日:10月31日 著者:山本 幸久

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