佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「染錦梅花丸紋濃」と「赤絵梅花丸紋濃」

 

 私が役員を務めるS社様からいただいた有田焼・源右衛門窯の湯呑みでお茶をいただきました。茶菓子は龍野「大黒屋丹治」のさくら餅。桜の花びらをあしらってあり、中に皮むきあんが入っているという手の込みようですが、値段が135円というのはエライ!

 浅学ゆえ焼きもののことに暗く「源右衛門窯」といってもその価値が良く解らないようなことで恥ずかしい限りです。せめてひととおりの知識を持って味わわなければ下さったS社様に失礼かと思い調べてみました。

 まずいただいた湯呑みの名は「染錦梅花丸紋濃」と「赤絵梅花丸紋濃」。

 

 源右衛門窯について調べたこと。 

源右衛門窯とは、有田焼を代表する窯元のひとつです。260年以上の歴史を持ち、古伊万里の伝統を伝えてきました。江戸時代末期から 明治時代の低迷期を経て、1970年代、六代目の舘林源右衛門は、 ヨーロッパに現存する輸出伊万里の品々を見て、有田焼が本来持っていた技術と、そこに込められた陶工の意欲を再発見しました。それから六代目源右衛門は源右衛門窯の復興に努め、現代的な商品開発や外国メーカーとの提携など積極的な事業展開を行ってきました。近年では洞爺湖サミットで各国首脳に贈られたことで話題となった、 軸に有田焼を配した万年筆や、胴体を有田焼で装飾した万華鏡など、有田焼の全く新しい魅力を生み出しています。

 続いてそれぞれの器について

染錦梅花丸紋濃(そめにしきばいかまるもんだみ)
緑色に描かれた梅の花が白地に浮かび上がっています。周りの染濃はきれいに塗りつぶしてしまわず、あえてムラを出し躍動感のある仕上がりになっています。このあたりが源右衛門窯たるところでしょうか。
口縁部を大きく反らせた形状が独特で、なんとなく違和感があったのですが、手にして持ちやすく、口を付け飲みやすいことがわかりました。機能的であることは日常づかいには必須。この湯呑みをを下さった方の思いもそこにあるのでしょう。「赤絵梅花丸紋濃」とペアで下さったのは「夫婦で普段使いして下さいね」というメッセージに違いありません。

赤絵梅花丸紋濃(あかえばいかまるもんだみ)

「染錦梅花丸紋濃」と同じく白磁に描いた緑色の梅花。周りを赤濃で包み込んだであります。こちらの赤濃(あかだみ)も脈打つような筆づかい。なぜ梅の花が緑色なのかと思いましたが、「赤絵梅花丸紋濃」と「染錦梅花丸紋濃」をペアで並べてみて、この色しかないなと思い直しました。

 

「濃み(だみ)」についても勉強しました。

 染付の際に、素地に絵付けの輪郭線を施した中を太い濃筆に呉須を含ませて塗っていく作業を濃み(だみ)といいます。塗り絵のようなイメージになります。筆を指で押さえることで、呉須の量を調整して、色の濃淡を表現が可能です。

呉須で素地に絵付をする際に、輪郭線をほどこされた中に太い濃筆で呉須を含ませて塗っていく下絵付けの技法。ぬりえのような作業です。濃みの技法にも習得するまで、長い訓練が必要です。

輪郭部分の絵付けが男性の作業であり、濃み(だみ)を作成するダミ手は女性の職人の作業であったといわれています。

 

 こうして勉強してみると、すこし値打ちがわかった気がします。