佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2019年4月の読書メーター

4月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2426
ナイス数:687

 

 先月、スティーヴ・ハミルトンの『解錠師』を読み、昔読んだ『氷の闇を越えて』を再読。私の心に再びハードボイルド熱の火がついた。シミタツの最新小説『疾れ、新蔵』の表紙が卯月みゆき先生の手に成ると知り読んで、さらにシミタツ三部作をもう一度読もうという気になった。ハードボイルドな世界に酔い痴れる。かっこいい男への憧れはまもなく還暦を迎えようとする歳になってもあるものだ。もうしばらくは背筋を伸ばして生きたいものだ。



飢えて狼 (新潮文庫)飢えて狼 (新潮文庫)感想
志水辰夫の冒険小説デビュー作。本書と『裂けて海峡』、そして『叛いて故郷』は志水氏の初期三部作と呼ばれている。克己心の塊のような男が、ひたすら自らの想いを抑制しながら強くあろうと生きていく。心情はセンチメンタルなくせにそうではないように振る舞う。クールであろうとしながら、抑えきれない熱い想い。ハードボイルドですねぇ。こういう小説は大好物です。今月3冊目のシミタツ。シミタツ節に酔い痴れております。
読了日:04月26日 著者:志水 辰夫


裂けて海峡 (講談社文庫)裂けて海峡 (講談社文庫)感想
つい先日、新潮社版を読んだ。ラストの書きぶりの違いを確認。本書「天に星。地に憎悪。南溟。八月。わたしの死。」 新潮社版「天に星。地に憎悪。南溟。八月。わたしは死んだ。」 どちらが良いだろう。新潮社版が後の出版であることから、志水氏は「わたしは死んだ」で締めることを選んだということだ。なぜ、書き換えたのか志水氏に訊いてみたいところ。私はといえば、はじめは講談社版を支持していたが、日が経つうちに新潮社版が良いように思えてきた。しかしまた日が経てば講談社版に気が行く。これは悩ましい。
読了日:04月23日 著者:志水 辰夫


裂けて海峡 (新潮文庫)裂けて海峡 (新潮文庫)感想
シミタツ節全開。ちょっとクサイけれど、良い。すごく良い。鳥肌がたつ思いの後、しばし放心。余韻に浸る。  このラストシーンの書きぶりですが、本書、2004年新潮文庫版と1986年講談社文庫版で少しちがう。  新潮社「天に星。地に憎悪。南溟。八月。わたしは死んだ。」  講談社「天に星。地に憎悪。南溟。八月。わたしの死。」  志水氏が何故書き換えたのかはわからない。なるほど新潮文庫版のほうがしっくりくる。しかし、わたしは講談社文庫版を推す。徹底した体言止めでテンポと余韻においてこちらの方に軍配があがる気がする。
読了日:04月19日 著者:志水 辰夫


疾れ、新蔵 (徳間時代小説文庫)疾れ、新蔵 (徳間時代小説文庫)感想
久しぶりのシミタツ。カバーイラストが卯月みゆき先生の手に成るものと知り買い求めました。『青に候』を読んだのがおよそ10年前。ずいぶんご無沙汰でした。最近は時代小説を書いていらっしゃるのですね。志水氏はいろいろなものが書ける作家ですね。『青に候』はハードボイルド・タッチ時代小説でしたが、今作は冒険エンタメ系。シミタツ節は影を潜めていますけれど、これはこれでおもしろい。逃走と追跡の緊迫感で一気読みさせます。
読了日:04月13日 著者:志水 辰夫


氷の闇を越えて (ハヤカワ・ミステリ文庫)氷の闇を越えて (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
著者の最新作『解錠師』を読み、再読したくなり本棚から取り出した。読んだのはいつだったか。おそらく十数年前のことだっただろう。再読であっても緊迫感をもって読ませるところは流石。極上のハードボイルドです。若き日の挫折。人生を変えてしまった出来事とそれによって受けた心の傷。そこから立ち直ろうとする克己心。繊細で弱い面を持つ人間でありながら、あるべき自分を追い求める姿に魅力を感じ、思い入れたっぷりで読みました。シリーズ第二作『ウルフ・ムーンの夜』も読もう。
読了日:04月09日 著者:スティーヴ ハミルトン


人生の目的 (幻冬舎文庫)人生の目的 (幻冬舎文庫)感想
人生に決まった目的などあろうはずはない。人生はそれぞれで、それがどうなるかは全く予測が付かず、その意味で思い定めようがないだろう。人間とは不自由なものであり、人はそれぞれ不公平と理不尽の中で生きている。人生は母の胎内から出生した瞬間から、それぞれ違った条件を与えられてスタートする。不公平だろうがなんだろうがそれが現実であり、人はそれを願いや祈り、あるいは努力や誠意で変えることはできない。本書の素晴らしいところは、けっして気休めを言うこと無く、運命と宿命と理不尽とを受容し生きろと言っているところである。
読了日:04月06日 著者:五木 寛之

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