佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

令和元年5月1日 輪島「8番らーめん」と小浜「きらく亭」

2019/05/01

 今朝は宿泊した珠洲市「湯宿 さか本」で「令和」最初の朝食をおいしくいただいた。ある意味、「令和」というより「昭和」の気分で食べていたことに思い至る。ただ、「昭和」の時代は経済成長とともに規模の拡大であるとか効率を目指した時代であっただろう。「平成」を経て「令和」は本当に良いもの(それは万人がこぞって良いと認めるものではないかもしれないけれど)に立ち返る時代なのかもしれない。

 そんなことを思いながら宿を後にした。今日は移動日である。明日の午後、甲子園のロイヤルスイート席にご招待いただいている。明日の昼には兵庫に帰らねばならないので、今晩はその途中の地、それはどこでも良いのだができれば良い居酒屋があるところに泊まりたい。webであちこち調べたが、なかなかこれといったところがない。なにしろ前代未聞の大型連休である。ホテル・旅館はどこもいっぱい。もし空いていても、そこにふさわしくないほどバカ高い料金になっている。ようやく小浜にホテルが見つかった。居酒屋にこころあたりはなかったがGoogleマップにひとつだけ☆を付けていた。小浜駅にほど近い「きらく亭」である。小浜なら魚はまず間違いあるまい。居酒屋さえよければ、ホテルはツインがなくセミダブルだろうが、喫煙ルームだろうが贅沢はいわない。今日の泊まりは小浜に決定。

 そうと決まれば急ぐ必要はない。距離にして300km強、4時間もあれば着く。今日は小雨も降っている。一日、車での移動と心に決めて輪島に向かう。朝市を覗いてみようと決めたのだ。

 輪島の朝市は雨模様で、時間ももう10:00を過ぎているというのに結構人が多かった。輪島の朝市は以前に一度訪れたことがある。その時は市の入り口一番端っこで売っていたおばあさんからいしるを買った。小さくてしわしわでぽつんと座っている感じのおばあさんであった。私はこういう佇まいを見ると要らぬ妄想をしてしまうクセがある。たとえば「このおばあさんは家に鬼嫁がいて、前に並べている商品を売ってしまわないことには帰ってくるなといわれているのではないか」とか、「家に極道息子がいて遊ぶ金をしょっちゅうせびるのではないか」などといった妄想である。根拠は無い。ただ、小さいおばあさんを見ると、なにか困っているのでは無いかと心配してしまうのだ。そしてそのおばあさんからついつい物を買ってしまう。この日の一番端っこはやはり小さなおばあさんであった。小さなわらじの民藝品をひとつ百円で売っていた。自分にはまったく不要な物だが、思わず十個ほど買ってしまいそうになる。かろうじて気持ちを抑えて、市の中へ足を運んだ。結局、大した買い物はせず、干物を少し買ってもとに戻った。その時には小さいおばあさんからわらじ民藝品を買ってあげようと心は決まっていた。しかし、小一時間前に売っていた場所におばあさんの姿は無かった。なんだかほっとした。あのおばあさんの家には鬼嫁も極道息子もいなかったのだ。めでたしめでたしである。

 輪島の朝市を後にして、再び車で移動中、ロードサイドに⑧の数字が目に入った。以前から北陸を訪れたら食べてみようと思っていた「8番らーめん」である。当然、この店の主力商品の「野菜らーめん」を注文。味は味噌か塩か迷ったが、塩にした。うまい。太麺が良い感じだ。キャベツもうまい。これは人気があるはずだ。お客さんがひっきりなしで店内は常に満席状態であった。

 うまいラーメンで腹を満たした後は一路小浜へ向かった。小浜に着いた頃には空に雲が立ちこめているものの、雨は上がっていた。ホテルにチェックインして、しばしの休憩の後、町中を散策しながら目指す居酒屋「きらく亭」に向かった。

 小浜の町は静かな田舎町であった。「きらく亭」はそんな落ち着いた町並みの中で、ごくありきたりな居酒屋の佇まいであった。縄のれんをくぐると、まだ開店したばかりとみえ、我々が一番最初の客であった。酒は「早瀬浦」を注文。福井県の酒だ。魚はキスの天ぷら、鯵の刺身を注文。「早瀬浦」のキリッとした味わいはやはり料理を活かす。つづいて酒は山形の「雅山流」を頼んでみる。初めて呑む酒である。かぐわしい香りが鼻腔をくすぐる。なかなかうまい酒であった。へしこの天ぷらがうまいというので注文してみる。ほんとうにうまい。酒がいくらでも飲めてしまう。

 〆は寿司二種。やはり小浜で焼き鯖ずしと小鯛ずしは外せない。満足しました。