佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『羽州ぼろ鳶組Ⅶ 狐花火』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)

羽州ぼろ鳶組Ⅶ 狐花火』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)を読みました。
 まずは出版社の紹介文を引きます。

 悪夢、再び!水では消えない火、噴き出す炎、自然発火……。江戸の火消たちは団結し、すべてを奪う火龍に挑む!累計38万部突破!「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第七巻


 天才花火師と謳われるも、愛娘を花火の事故で喪い、妻も世を儚み命を絶つ――。明和の大火の下手人秀助は、事故の原因たる怠惰な火消に復讐を誓い、江戸を焼いた。新庄藩火消頭松永源吾と対決の末捕えられ、火刑となったはずだが、朱土竜、瓦斯と、秀助と思しき火付けが今再び起きる!秀助は生きているのか?その狙いは?江戸の火消が結集し、猛り狂う炎に挑む。

狐花火 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

狐花火 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

 

 前巻『夢胡蝶』で田沼によって語られた問「千人の籠る屋敷、一人が暮らす小屋、どちらかしか救えぬならば、お主はどちらを救う」。それに対する答えが今巻でギリギリの窮地に追い込まれた局面での源吾の行動であろう。それは一つの答えだろう。誠実な生き方、あるいは死に方に違いない。しかし本当にそれで良いのか。松永源吾は妻・深雪、子・平志郎にとって、さらにぼろ鳶組の面々にとってかけがえのない存在だ。もはや蛮勇をふるって死んでも良い存在ではない。源吾が最終的にどのような答えに至るのか興味津々である。このシリーズが描くのはけっして「死に様」ではなく「生き様」であるはずだ。